スピンのかけやすさについて

表面に凹凸のあるスピン系のガットを張ればスピン量が増えて打球の勢いが増す—なんてことはありません。打球の威力を増すために本当に必要な条件は別にあって、それを一つ一つクリアしていくことが破壊力のあるショットの獲得につながります。

ガットだけでは決まらない

フレームがダメなら何を張ってもダメ

ガットに興味がある方は、ややもすると、ガット次第でラケットのパフォーマンスを変えられるように思ってしまうことがあるかもしれません。
でも、この「スピンのかけやすさ」についてはガットだけで何とかできる問題ではありません
ですから、ラケットのフレームがスピンをかけるのに不向きな場合は、どんなガットをどんな硬さに張ってもパフォーマンスの改善は望めないでしょう。
そして、その「ラケットのフレームがスピンをかけるのに不向きな場合」とは以下のようなケースです。

スイングウェイトが
軽すぎる

フレームのスイングウェイトが軽いとインパクトでボールに負けて打球衝撃が強くなるため、そこでヘッドスピードが落ちるのでスムーズに振り抜けません。
振り抜けなければスピンはかからないので、打ち負けた打球はスッポ抜けます。

スイングウェイトが
重すぎる

フレームのスイングウェイトが重いと取り回しの負担が大きくなるので、速く振るのが難しくなります。
そして、速く振れなければスピンはかかりません。
インパクトでヘッドが走らなければスピンはかからないので、フレームのスイングウェイトが適切でなければガットをいくら工夫してもスピンをかけやすい状態にはならないわけです。
参照⇒適切なスイングウェイト

張りが硬くても柔らかくてもダメ

ボールインパクトでガットが動くことで食い付きが生まれ、動いたガットが戻るときにスピンがかかります。
参照⇒スナップバックと適切な硬さ
張りが硬いとインパクトでガットが動かず、逆に柔らかいと動いたガットが戻りません。
ですから、硬くても柔らかくても、スピンはうまくかからないということです。
スピンをかけるには動いて戻る硬さが大前提ということです。

硬く張ってボールを
つぶして回転をかける
・・・は迷信

「ハードヒッターはガットを硬く張ってボールをつぶして回転をかける」というような話もあるようですが、硬く張るとインパクトでガットが動かなくなるので食いつきが失われ、スルッと滑って持ち上がりにくくなります。
さらに、インパクトでボールがガットに接している時間は千分の3~5秒程度ですが、ボールをつぶしてもつぶさなくてもこの時間に大差はないので、打球に回転をかけるための時間的な余裕が生まれるわけではありません。

その上、人がその短い瞬間を感じ取れるのはボールが飛んでいってしまった後なので、インパクトで手応えを感じて力を入れても後の祭りで、ボールには伝わりません。
また、つぶしているという手応えを感じたときはボールからの手応えを受け取っていることになるので、打ち負けている状態です。
以上のことから、硬く張ってボールをつぶそうとするとスッポ抜けのアウトが増えるだけになる可能性が高いでしょう。

プレイヤーとの相性次第

プレイヤーの運動が
打球に伝わりやすいのが
ベスト

ラケットの性能特性と、それを使うプレイヤーの運動特性には相性というものがあって、相性が良くないとプレイヤーの運動が効率良く打球に伝わらないので、インパクトの打球衝撃が強くなり、スムーズに振り抜けなくなります。
さらに、そういうケースでは、プレイヤーは力を入れて打つようになり、インパクトで手首が固定された状態になります。
手首の動きがブロックされた状態ではヘッドが走らず、スピンをかけるのが難しくなるので、力を入れて打っている限り強烈なスピンはかからないわけです。
参照⇒ラケットの性能は使う人との相性次第で変わる

スピンがかかればそれで良いのか

回転過剰は打球が
遅くなる原因になる

打球にもっとスピンをかけたいと思っているプレイヤーは多いのですが、そのこと自体をもう一度考え直しても良いかもしれません。
強いスピンをかければ打球の威力が増すように考えがちですが、スピンをかけることにはデメリットもあるのです。
その代表的なものは、打球スピードが遅くなることです。
スイングパワーが一定の場合、スピン量と打球スピードは相殺関係にあるので、スピン量が増えれば打球スピードは遅くなります。
プレイヤーのスイングパワーが無尽蔵なら、打球スピードが遅くならない状態でスピン量を増やすことができますが、あまり現実的な話ではありません。
ですから、やみくもにスピン量を増やすと遅いボールを打ち続けることになるので、攻撃力という点ではあまり望ましくないわけです。

その次のデメリットは、プレイヤーの疲労が早いということで、試合中ずっと強いスピンをかけ続けるためには、無尽蔵の体力が必要です。

いつも同じではワンパターン

さらに付け加えると、スピンをかけたい方はいつも同じようにかけようとする傾向があります。
でも、相手の打球の回転量がいつも同じというのは、それを打ち返す側にとってはラッキーで、打球のテンポがいつも同じなのでイージーな状態と言えます。
スピンを武器にする場合も、スピン量が毎回違うほうが相手のミスを誘いやすいわけです。

前提条件を満たさなければ
回転はかからない

ここまで書いたことをまとめると、「1.自分に合ったラケット」「2.適切なスイングウェイト」の個体を選んで、「3.ガットが動いて戻る適切な硬さ」に張り上げれば普通に回転はかかるということです。
逆に言えば、これらの条件から一つでも外れる場合は、ストリング・セッティングをいくら工夫してもスピンがかけやすい状態にはならないわけです。

スピンに特化したセッティング

表面にデコボコ加工したスピンタイプのガットを選んだり、ガットの本数を減らしたスピンタイプのラケットを選んだりすれば、打球のスピン量がそれなりに増すのは間違いないのですが、それで打球に威力が増すかどうかは別の問題だと考えたほうが賢明でしょう。
なぜなら、そうした引っかかり感のわかりやすいラケットで打っていると、プレイヤーのスイングがボールを引っかける方向に誘導されやすくなるので、スイングパワーが上に逃げる状態に陥ってしまうという傾向があるからです。
そうなると、シュルシュルと回転のかかった「遅いボール」を打ち続けることになり、戦力的には苦しくなります。

伸びのあるスピンボール

ネットの高さを越えてコート内にボールを打ち込むためには、打球に順回転をかけることが有効なのは間違いありませんが、それには適切な程度というものがあって、スピン量が多いほど良いということではありません。
スピードとスピン量を兼ね備えた打球は、ネットを越えるまではまっすぐ飛んで、そこからグイッと沈む球筋だとご理解ください。
そうした打球を打ち出すには、スピンに特化したセッティングより、先ほどの「普通にスピンがかかる状態」のほうが適していると言えるでしょう。
「こする」打ち方より「振り抜いて押さえ込む」という単純な打ち方のほうが伸びのあるスピンボールが打てるのです。

スピン量と打球スピードの
バリエーション

強いスピンのかかった打球が打ち返しにくいのは間違いありませんが、そのボールのスピードが遅かったら、どこに打っても追いつかれてしまいます。
ですから、相手の時間を削るためには打球スピードも欠かせません。
なので、毎回この二つのバランスを変えながら、多彩なバリエーションのあるショットでラリーを組み立てていただければと存じます。

知らないと損
ガットについての情報

ガット張りについての40件以上の記事が以下の4つのジャンルに分類されています。

Click!⇒ガット張りで損をする
ラケット選びには真剣に取り組んでも、ガット張りのことはイマイチよくわからないという方は少なくないようです。でも、実際にボールを打つのはガットで、フレームはガットのアクションを受け取るだけなので、ラケットのパフォーマンスの主役はガットです。なので、ガット張りを軽視するとプレー上の大きな損失につながります。

Click!⇒ガットの種類の選び方
テニスガットについての記事を集めたコーナーです。ガットの基本知識や素材や太さの選び方などの解説と、スピンのかけやすさや打球フィーリングについての記事を紹介しています。ガットについては小さな誤解で大きな損をすることがあるので正しい情報を収集してください。

Click!⇒ガット張りの硬さについて
ガット張りの硬さについてのアドバイスを集めたコーナー。ガット張りについては未開拓の荒野のような状態で、多くのプレイヤーがいまだに「推奨テンションの呪縛」にとらわれています。そのため「快適なプレー」という目的地にたどり着くためのルートを見つけるのは容易ではありません。正しい情報を得て迷路から抜け出してください。

Click!⇒ガットについてさらに詳しく!
ガットについてもっと詳しく知りたい方のための記事を集めたコーナーです。適切な硬さを見つけるための情報と不適切な張上の弊害等についての記事があります。「好きな打球感のセッティング」というワナにハマると戦力低下という迷路から抜け出せなくなります。

ガット張りだけでは「適切なガット張り」が見つからない
ガット張りについての関心が高い方には残念なことですが、でもこれは、まぎれも無い事実です。
その事実とは、「ガット張りだけでは適切なガット張りを見つけられない」ということで、ガット張りについてどんなに深掘りしても、それだけでは快適なセッティングを見つけることはできません。
なぜなら、ガットだけではボールを打つことができないからです。
ガットはフレームに張らないと使えませんが、そのフレームがプレイヤーに合っていないと、どんなにガット張りを工夫しても快適に打てる状態にはなりません。
ですから、快適に打てるセッティングを見つけるには、その前に「自分に合うラケット」を手に入れることが必要なのです。
でも、この話はもっと複雑で、ガットだけではボールを打てないのですが、同じ理由で、フレームだけでもボールは打てないので、自分に合うラケットを手に入れるには、適切なガット張りがされているラケットを試打することが必要なのです。
なぜなら、ガット張りが不適切なラケットをいくら試打しても良い状態にはならないので、時間のムダになってしまうからです。
テニスワンのラケットドックには適切なガット張りが施されているラケットが用意されているので、プレーが良くなるラケットが見つかります。Click!↓

ラケットについての記事
ラケットについてのいろいろ/全116件

技術的なアドバイス
やらないほうが良いことや試合への取組/全73件

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◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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