テニスの試合/実力と集中力の関係

この記事は「試合で緊張して実力が出せない」に付属する内容です。

集中力と実力の関係

試合で実力が発揮できないプレイヤーのために、集中力とプレイヤーの実力との関係について書かせていただきます。
わかりやすくするために以下のような計算式を用意しました。

試合での戦力
=集中% ✕ 実力

これは掛け算なので、「集中」のパーセンテージ次第で最終的な戦力が決まるということです。
ですから、どんなに技術や実力があっても集中がゼロ%なら戦力もゼロになるわけです。

試合に勝つか負けるかは実力次第だと考えている方は、自分よりヘタな相手に負けたりすると「あんなヘタクソに負けるくらい自分はヘタなんだ」と自分の実力を卑下して考えたりしますが、これは完全な誤解で、自分の半分以下の実力しかない相手と対戦しても、自分の集中状態が50%以下なら同レベルの戦いになるわけです。
ド素人を相手にしても、自分の集中状態が最悪なら、それこそ「良い勝負」になってしまうということです。

他の例では、ただ返すしか能がないないシコラーとの対戦で、攻撃的なプレイヤーがミスを連発して自滅してしまうのは、シコラーが「ただ返すことだけに100%集中」しているのに対して、攻撃する側にはいろいろな選択肢があるので「次はどういうショットを打とうか」と頭の中が雑念だらけでゴチャゴチャになってしまうからです。
次のショットの狙いが気になって頭の中がヘッドアップした状態になるので、飛んでくるボールに集中できずにガシャるわけです。

長い間、プレー経験を重ねて高い実力を持っていても、試合での集中がうまくいかなければ全部ムダになってしまうわけで、これがテニスというスポーツ特有の落とし穴です。

片方だけでは
勝負にならない

でも、いくら集中が大事だからといっても、技術や実力がなければ、どんなに集中しても何もできないことに変わりはないので、「集中力」と「実力」のどちらか片方だけでは勝負になりません
そして、実力的には自分と大して変わらないのに試合で強いプレイヤーは「集中の仕方がうまい」のですが、逆に言えば、「違うのはそこだけ」なのです。
そんな相手に試合で負けても、自分の実力が劣っていたわけではなく、集中力のコントロールがうまくいかなかっただけなので、頭を切り換えて集中し切ることに専念すれば良いのです。

緊張してもかまわない

「集中が必要なのはわかっているけど、緊張してそれができないから悩んでいるんだ!」と思う方が居るかもしれませんが、緊張すると集中できないというのはありがちな誤解で、「緊張」と「集中できない」の二つの間には因果関係はありません。
というより、気持ちが緩んだ状態や気持ちが沈んだ状態より、緊張して高揚している状態のほうが、そのエネルギーをボールにギューッと注ぎ込んで集中しやすいと言えるでしょう。

ですから、緊張するのがいけないのではなく、緊張する中でミスを防ごうとして、自分の身体を意識的に動かそうとするのがいけないのです。

自分の身体を意識的に動かそうとすれば、動きがギクシャクして高速で動き回るボールとの同調が途切れてミスの連発になり、それでカーッとしてドツボにはまるのですが、自分の身体を意識的に動かすことをやめれば緊張を防ぐ努力も必要なくなります。

集中できない原因は緊張ではなく、それとは別なところにあって、テニスの試合には「集中をジャマする材料」がたくさん用意されているのです。
そして、その仕組みを理解して対処するためには、試合と普段のプレーとの具体的な違いを知る必要があります。

1.勝ちたいと思う

これが練習と試合の最も大きな違いです。
普段の練習や遊びのゲームでは、多少は勝ちたいという思いはあっても試合のときほどではないはずです。
でも、試合になるとそうはいきません。とにかく、勝敗の結果が重要です。

「勝ちたい!みっともない負け方はしたくない!」などと口に出して言わないまでも、試合に出る以上、誰でも心の中には燃える思いがあるはずです。
そして、試合になると特に集中できなくなる仕組みとは、この「勝ちたい」と思うことなのです。

「えっ、」と思われるかもしれませんが、「絶対に勝とう!」という強い思いや「闘志」が集中をジャマする最大の要因です。
なぜなら、「勝とう」というのは試合が終わったとのことなので、今現在の瞬間から数十分後のことです。
でも、今の瞬間の最重要課題は「眼の前を高速で移動するボールを正確に把握すること」なので、そんな先のことを考えていたら、ボールに集中できるはずがありません。

雑念がジャマをする

勝つことへの思いが強いと、その影響で以下のようないろいろな思いが浮かびます。

勝利を手にするための具体的な方法、戦略や戦術を考える—–ああしよう、こうしようといろいろ考えるわけです。
ちゃんと返そうと決心したり、大事に返そうと慎重になる—–いい加減なプレーでポイントを失うことは絶対に避けたいと考えます。
プレー中に発生したミスについて、同じミスを繰り返さないために、対策を考えて実行しようとする—–普段のプレーでは特に気にせずにスルーしてしまうようなイージーミスも、勝つことを目指す場合はきちんと対応して絶対に無くそうとするわけです。

実は他にも、数え切れないくらいいろいろな思いが浮かぶはずです。でも、集中をジャマする仕組みは全部同じなので省略します。
つまり、「勝ちたい!」から生まれる全ての思いが集中をジャマして勝利を遠ざけるのです。
勝つために必要な「気をつけるべきこと」が増えれば増えるほど、集中状態から遠く離れていくわけです。

「勝ちたいと思うから【自分のやること】に注意が向く」というのが「集中力が切れる仕組みの基本パターン」で、きちんと打とうとすればするほどまともに当たらなくなります。

集中が途切れる具体例

「このポイントを落としたらアトが無いので大事に返そう!」と考えたときは、ミスするかヘロヘロの返球になるのを多くの方が経験しているはずですが、その仕組みはこんな感じです。

「このポイントを落としたらアトが無い」—今の瞬間ではなく未来のことに意識が向いています。
「このリターンは大事に返そう!」—身体を意識的に動かそうとするとボールが見えなくなるだけでなく、動きのスピード感が消えてスイングがギクシャクします。

試合中、敗色が濃厚になったときに生まれる「こんな相手に負けたらみっともない」という思いも未来予想であり、「心ここにあらず」の象徴です。
相手にゲームポイントを握られたときのこちらのサーブで、セカンドを打つ時に浮かぶ「絶対にダブらないようにしよう」という思いも、「未来予想のマイナス思考バージョン」なので、多くの場合、マイナスの予想が的中します。

ゲームカウントやポイントなどのちょっと先のことを気にしながらプレーしていたら、集中なんてできるはずはありません。

プレー中にポイントを客観的に評価しない
テニスのゲームは、どんなに不利なカウントからでも、その後のゲームポイントを全部取れば勝てるし、その逆も真なりです。どんな事態になってもその状況を「単なる事実」として、心静かに受け止めるだけにして、状況を客観的に評価しないことが勝つためには不可欠です…

戦術的な組み立てや検討が不要だと言うつもりはありませんが、そんなことは打ち合いの合間に終わらせておくべきことで、打ち合いが始まったときに戦術などが頭にあったら、それにジャマされてミスが出ます。

ここで、「そうか、試合中はあまり考えないほうが良いんだ」と思った方はアウトです。
「あまり考えない」のではなく「絶対に考えない」ことが必要で、「頭の中が空っぽ」という状態が最高の反射を実現するための絶対条件なのです。

高速で飛んでくるボールに対して完璧な対応をするためには動物的な反射が必要で、それには完全な集中状態を獲得しなければなりません。
ですから、「ふと、我に返ったときには勝っていた」というのが、最高の勝ち方です。

2.対戦相手を意識する

普段の練習とは違って、試合の相手は初対面であることが少なくありません。
そして、人は誰でも初対面の相手と勝負するときは少なからず緊張するものです。
でもこれは、緊張を生む原因にはなるかもしれませんが、集中できない直接原因にはならないはずで、それについて説明させていただきます。

テニスは対人ゲームではない

見知らぬ対戦相手は緊張を生むかもしれませんが、集中を乱す原因にはなりません。
なぜなら、対戦相手は意識するべき対象ではないからです。

相手プレイヤーを意識して集中が乱れてしまうのは、テニスというスポーツを誤解しているからです。
その誤解とは、テニスを「相手と戦うゲーム」だと考えることで、そう考えるから相手プレイヤーに意識が向いてしまうのですが、テニスは本質的に相手と戦うゲームではありません

ポイントを競う相手が居るのは確かですが、その相手と格闘技のように直接コンタクトすることはありません。
テニスでは、相手プレイヤーとはネットをはさんでボールを打ち合うだけなので、サッカーのように自分のやることを相手からジャマされることもありません。
相手のプレイヤーができることは、こちらが打ち返しにくいボールを打つことだけです。
そして、ボールを打ち返し損なった側がポイントを失う仕組みなので、そこで競い合うのは「ボール扱いの優劣」です。

スピードを競うスポーツであれば最速タイムを出した選手が勝ち、動きの優劣を競うスポーツであれば最も高度な動きを美しく演じた選手が勝つので、そういうスポーツでは対戦相手を特に意識する必要はないのですが、それと同じようにテニスの場合も、ボールを意のままに動かしたほうが勝つわけです。
ですから、テニスは「対人ゲーム」ではなく「対ボールゲーム」なのです。

闘争心は集中のジャマ

ボール扱いの優劣は、これまでに身につけた技術だけではなく、一瞬一瞬のボールの動きを正確に把握できているかどうかで決まるので、先述したように「戦力=集中力×実力」なのですが、この集中力はあくまで「対ボール」であって「対人」ではないのです。
そのため、試合中に競争心や闘争心などの「対人」意識が生まれると無用な緊張感が高まるだけで、プレー中の他の雑念と同じで集中のジャマにしかならないわけです。
試合が終わった後に初めて、相手がどんな顔だったかに気づくような状態がベストでしょう。

完全な集中状態

完全な集中状態とは、ボールと自分という二人だけの世界に入り込むことで、そこではボールと自分以外のものは全て雑念です。
対戦相手や観客の目を気にしたり、戦術や打ち方のことを考えたり、負けたときのことを想像したりしていれば、集中状態とは真逆の状態なので、正確なポイントでボールを打ち抜くことができるはずはありません。
全神経を集中させて対応しなければならないボールはそっちのけで、打ち方や対戦相手など、ボールと関係のない別なことを考えていたら、ボールとの関係が破綻するのは当然です。

ボールの音しか
聞こえない状態

勝ちたいという思いも、相手へプレイヤーの闘争心も、集中のジャマにしかなりません。
大切なのは無我夢中の集中状態なのですが、そこに至るにはある程度の訓練が必要です。

「集中しよう!」といくら考えても、そんなことを「考えている」限り集中できていないわけです。

野球のバッターが打席に入ったときに必ずやる動作のような、集中状態に入り込むための決まった手順=「ルーティンワーク」自分で決めるのも有効です。

ザワザワした試合会場で、ボールの音しか聞こえない状態を目指してください。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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