ラケット選びの基本 パワーをプレイヤーに合わせる

プレイヤーに対して飛びすぎるラケットや飛びの悪いラケットなどの「パワーレベルの合わないラケット」を使うと、スイングがギクシャクして力みが生まれます。最初からプレイヤーに合うパワーレベルのラケットを選べば、余計な調節をしなくても打球の深さが自然に安定してミスが減ります。

テニスラケット選びの基本
その1

ラケットのパワーを
プレイヤーに合わせる

22mのしばり!

いきなりこれでは、何のことかサッパリわからないと思いますが、打球の飛距離のことです。
道具でボールを打つスポーツには、テニスの他にゴルフや野球などがありますが、それらのスポーツに比べて、テニスの場合は飛距離の制限が厳しいという特徴があります。
テニスのプレーの基本となるベースラインからのストロークの打ち合いでは、プレイヤーの立っているベースラインから約12m先にある1mくらいの高さのネットを超えて、なおかつ、そこから12mくらい先にある相手コートのベースラインの内側に打球が着地しなければなりません。
そして、打球がネットを超えなかったり、ラインの外に打球が飛んだ場合は即座にポイントを失います。

ですから、この「ネットもアウトもしないように打つ」というのがテニスで最も基本的で重要な決まりだと言えます。

バラツキ範囲を計算に入れる

止まっているボールを打つゴルフなどと違い、テニスは飛んでくるボールを打ち返すスポーツなので、毎回正確に一定の飛距離に打ち続けるのはとても難しく、プロ選手でも無理だと言えるでしょう。
そのため、プレー中の打球の着地点については、ある程度バラつくことを前提にして考えなければなりません。
一般的なプレイヤーの場合、そのバラツキ範囲は着地予定地点の前後3m程度を見込んでおけば良いと思います。
(バラツキ範囲が広すぎると思われるかもしれませんが、コースのコントロールより、長さをまとめるほうが難しいので、安全性を考えればだいたいこんなものだと思います。)

ベースラインの外側1mの位置に立ってストロークを打つとき、相手コートのベースラインまでの距離は25mになりますが、そこからバラツキ範囲をマイナスすると、平均飛距離は25m-3m=22mくらいに設定するのが妥当だと言えます。
これが、最初に出てきた「22mのしばり」なのです。

平均的に22m飛ぶラケットを選べば良い

ですから、「打球が平均的に22mくらい飛ぶラケット」を選べば、多少のバラツキは許されるので、ネットやアウトでポイントを失う危険が少ないと言えます。

これよりも飛びの出やすいラケットでは、打球がバラつくとアウトのリスクが高くなります。
仮に、平均飛距離が25mくらいのラケットを選んだ場合は、50%の確率でアウトが出ることになります。
逆に、これより飛びが出にくいラケットではネットのリスクが高まるということです。

調節しないで済むラケット

もちろん、人間は自分の運動の強さを意識的に調節することができるので、ネットしたりアウトしたりしないように打ち方を変えることは可能です。
でも、テニスでは短時間に連続的に打ち続けることが求められるため、プレー中はとても忙しいのが普通です。
なので、できればあまり注意深く調節しなくても適度に飛んでくれるラケットのほうが気を使わなくて済みます。
実戦レベルの打ち合いでは、ショットとショットの間には3秒前後のわずかな時間しかないので、打つ前に素振りをしたり、力加減を考えたりする余裕はありません。
ですから、「できるだけ気を使わずに済むラケット」、「無造作に振ったときに適切な深さに飛ぶラケット」が一番ミスが少ないのです。

プレイヤーのスイングパワーと
ラケットのパワーを合わせる

このように、「身体の力が有る人も無い人も、要求される飛距離は同じ」というのが、テニスというスポーツの特徴なので、その定められた要求を満たすには、プレイヤーごとに飛び(パワーレベル)の合うラケットを選んで、一定の飛距離にしなければなりません。
「無造作に振ったときに22m飛ぶラケット」は人それぞれで違うので、人それぞれのパワーに合わせて選ぶ必要があるのです。
結論としては、「あまりパワーのないプレイヤーには飛びの良いラケット」「パワーのあるプレイヤーには飛ばないラケット」というのが「適切な組み合わせ」であり、それがラケット選びの基本です。

あまりパワーのない人が飛ばないラケットを選んだり、パワーのある人が飛びの良いラケットを選んだりという「不適切な組み合わせ」では、それぞれのプレイヤーが余計な調整を迫られることになります。
あまりパワーのない人が飛ばないラケットを使うと、力を入れて打つことが必要になるので、疲れが早かったり、打つときにバランスが崩れやすくなったりします。
逆に、パワーのある人が飛びの良いラケットを使うと、抑え気味に打つことが必要になるので、解放的に振り抜けなかったり、身体の動きやスイングが萎縮したりすることがあります。

余計な運動調節をしなくても、自然なスイングで「22mのしばり」がクリアできるラケットを選べば、気ままにスイングできてショットの成功率も高くなるわけです。

人それぞれなので
技術レベルでは選べない

ですが、ラケットを選ぶ際には「プレイヤーの技術レベルを判断の基準にする」という傾向が世の中にはあるようです。
初心者には初心者向けのラケット、上級者には上級者向けのラケットがあると考えて、そうした基準で選ぼうとするケースが多いのですが、実際のところ、この方法はあまりおすすめできません。
初心者向けとして売られているラケットのほとんどは、価格帯が安いものです。
初心者の方は最初にあまり予算をかけられないので、安いものから選びたいという観点では、これらのラケットは初心者向けといえるかもしれませんが、「初心者という技術レベルに合ったラケット」ではないということは、はじめから承知しておく必要があります。

人に合わせることが最優先

便宜上、「テニスの初心者」というように分類されても、テニス以外のスポーツ経験や体力、筋力、運動能力等は人それぞれで違います。
ですから、テニスの経験がどの程度かというだけで、それらの人をひとくくりにしてしまうのはかなり乱暴だと言えるでしょう。
そのため、初心者向け、中級者向け、上級者向けのラケットというのは言葉としては一応ありますが、現実的にはあまり意味がないとお考えいただいたほうが良いでしょう。
フェースが小さくて飛びの出にくいラケットには「上級者向け」というレッテルが貼られがちですが、必ずしも「パワーがある人=上級者」ではないので、上級者であれば誰でも飛ばないラケットが向いているということもないわけです。
ラケット選びの基本として、プレイヤーのパワーとラケットの飛び(パワーレベル)を適切に組み合わせることが第一とお考えください。

「良いラケット」より
「合うラケット」

「どうせ買うなら良いものを」と考えるのが普通ですが、やみくもに「良いラケット」を探そうとするより、「自分に合う」かどうかを最優先に考えるべきでしょう。
ここまでのことを前提にすれば、「良いラケット」があるにしても、それは人それぞれでかなり違うということです。
ですから、人が「これは良いラケットだ」と言ったものが、自分にも良いラケットである可能性はそれほど高くないわけです。
楽なラケットではうまくならないから、上級者向けのラケットを使って苦労すれば早くうまくなる、などということは絶対にありません。
どんなラケットでも、それに合わせて打つことはできますが、ラケットに合わせるのは「自分が余計な無理をする」ことです。
今の自分に合うラケットを選ぶことが上達を早めると同時に、今の自分の力を最大限に発揮することにつながります。

「ラケットの選び方の基本」は以下の4ページで構成されています。

テニスラケットの選び方の基本—はじめに

テニスラケットを選ぶときに、どうしても知っておいてほしいことが書いてあります。
テニスは「打球を相手コートに入れるスポーツ」なので、誰もが「ラケットに合わせた打ち方」になってしまうのですが、そのせいで「自分に合わないラケット」ほど変な打ち方になるのです。そうならないために正しい情報を得てください。
テニスラケットの選び方の基本—はじめに

その1:プレイヤーのパワーとラケットのパワーを組み合わせる

プレイヤーに対して飛びすぎるラケットや飛びの悪いラケットなどの「パワーレベルの合わないラケット」を使うと、スイングがギクシャクして力みが生まれます。最初からプレイヤーに合うパワーレベルのラケットを選べば、余計な調節をしなくても打球の深さが自然に安定してミスが減ります。
⇒ラケットのパワーのページへ

その2:「重さの誤解を取り除こう!」

ラケットを選ぶときは「重さ」を気にする方がとても多いのですが、「重さ」という一見単純そうなことの中に誰もがハマる落とし穴が隠れています。選ぶときのキーポイントは「重量」ではなく「スイングウェイト」なのです。
⇒重さについてのページヘ

その3:「グリップ・厚み・フェースサイズ」

グリップサイズを選ぶときの注意点と、フェースサイズ、フレーム厚等のスペックの数値でモデル特性を知るための基本的なことを解説します。
⇒スペックについてのページヘ


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ほとんどのプレイヤーは
ラケットで損をしている!
・・・というのが10,000名以上ラケットフィッティングで得られた結論です。その原因は、合わないラケットのせいで「変な打ち方」や「失速する打球」になっていても、プレイヤー自身はそれをきちんと自覚できないことにあります。そのため、自分に合うラケットを見つけるには第三者に客観的に見てもらうことが必要です。

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