テニスガットの正しい知識 ストリングで飛びを抑えるのは最悪!?

ガットの知識 応用編1

ストリングで飛ばなくするのは
最悪のアイディア!?

ゲーム中にちょっとしたアウトが続いたりすると、それを気にして、ストリング・セッティングで飛びを抑えようと考えるケースが、実際問題として少なくないようです。
張りを硬くしたり、ストリングの種類を飛びの出にくいアイテムに変更したりして、飛距離を短くしようとするわけです。
でもこれは、逆効果になったり、別の弊害を生む原因になったりすることがあります。
初めて使ったラケットでアウトが出るのなら話は別ですが、しばらく使っているラケットでアウトが出やすいのはラケットの性能のせいではなく、プレイヤーの打ち方の問題なのです。
ショットがアウトするのはラケットが飛びすぎるからではなく、プレイヤーがアウトするような打ち方をするからです。
でも、ここが大切なのですが、アウトするような打ち方になってしまうのには、ラケットの性能が大きく影響しているのです。
アウトするような打ち方とは「ボールを飛ばそうとする打ち方」のことですが、そういう打ち方になってしまうのは、飛びの悪いラケットが原因であるケースが現実的にはとても多いのです。
そういう意味で、アウトが出やすいのはラケットのせいなのですが、「ラケットが飛びすぎるからアウトが出る」のとは逆の仕組みで、ラケットが飛ばないから、飛ばすような打ち方になってしまい、飛ばしすぎてアウトが出るという仕組みです。

飛ばないラケットは打球衝撃が強い

それではなぜ、わざわざアウトするような打ち方になってしまうのでしょうか。
それは、インパクト時の打球衝撃が強いことが最大の原因です。
飛びの悪いラケットはボールとラケットが衝突したときに強い衝撃を発生させて、それが手に伝わります。
人の身体は外部からの衝撃が予想されると反射的に力が入って筋肉が固まります。
ボールを打つときに強い衝撃が予想されると反射的に手に力が入るわけです。
そして同時に、ボールを打ったときに強い手応えがあると「しっかり打った」という達成感のようなものも生まれます。
そうした仕組みで、力を入れてしっかり打つのが習慣化するのですが、力を入れて打つとインパクトでラケットヘッドが走らないので押さえの効かない棒玉が出やすくなります
その結果、意に反したアウトが多発するようになるわけです。
力を入れて打ったときにアウトが出るのは、まさにこの状態で、力んで打つからアウトするのですが、力んでしまうのはラケットが飛ばないからです。
もちろん、ラケットが飛びすぎるからアウトが出るというケースもあるのですが、そういう場合、プレイヤーは開放的に振れなくなります。
飛びすぎるラケットでは自然にスイングが萎縮してしまうので、力を入れてしっかり打つことはできないのが普通です。
テニスプレイヤーには「打球を相手コートに入れる」という本能が有るので、それを実現するためにラケットの性能を打ち消すような運動調整が起きるので、飛ばないラケットでネットしたり、飛びの良いラケットでアウトが出たりというような単純なことは起きないわけです。

バックネットを直撃するような打球

ポリなどを硬く張って飛びを抑えてアウトを防ぐことに成功するケースもあるのですが、飛びを抑えることでコートに入っている打球は、文字どおり「飛んでいない」わけで、そんな状態では勢いのある打球にはなりません。
ハードヒットを繰り返しても簡単に返球されてしまうのはこういう状態です。
力を入れてしっかり打った打球は失速して、振り抜いて押さえ込んだ打球は伸びます。
ですから、バックネットを直撃するくらい勢いのある打球を鋭い振り抜きで押さえ込んでコートに入れている状態のほうが、飛びを抑えたセッティングよりショットの破壊力は大きいはずです。
さらに、テニスが長時間に及ぶスポーツであることを前提に考えれば、飛びを抑えたセッティングでしっかり打っている状態では疲労が早く、最終ゲームまで高い攻撃力を維持することが難しくなるのではないでしょうか。
勝つためには、飛ばないストリング・セッティングは逆効果ということです。

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