ラケットの性能でスピンのかけやすさは決まらない!?

 

ラケットの性能でスピンの
かけやすさは決まらない!?

一般的には、ホールド性が高いとスピンがかけやすいと考えられており、実際に、そういう面があることも否定できません。

ヘッドスピードがあまり速くない方の場合、ラケットがホールドしている感じが長いと、ボールに回転をかける感覚がつかみやすいということはあるでしょう。

でも、それよりも根本的なことは、そのプレイヤーにとって、そのラケットがスピンをかけやすい状態になっているかどうかということです。
つまり「プレイヤーとラケットの相性によってスピンのかけやすさは変わる」のです。

このことを理解するために次の二つのことを知っておいていただく必要があります。

「スピンショットはフラットに比べるとパワーロス」

「ヘッドスピードが上がらなければ回転量は増えない」

◆スピンショットはフラットに比べるとパワーロス

「スピンショットはフラットに比べるとパワーロスだ」というのは、単にボールを飛ばすという面から見るとスピン系のショットはとても非効率だということです。

フラット系のショットではラケットヘッドが打球の飛ぶ方向に振られるのに対し、回転をかける場合はラケットヘッドはボールが飛ぶ方向とはズレて振られます。

スライスの場合は打球方向より下にずれて、スピン系のショットでは打球方向より上にズレます。

そのズレによって回転がかかるのですが、スイングのパワーが回転に使われてしまうため、ボールを飛ばす力がその分だけ減ってしまいます。
フラット系のショットでは、「スイングパワー=飛ばす力100%」でしたが、回転系のショットでは「スイングパワー=飛ばす力+回転力」となるのです。

それでもスライス系のショットでは、空気抵抗によってボールが浮き上がる方向に回転するため、打球が伸びていくので、回転によるパワーロスで飛ばないという感じはしないのですが、スピン系のショットでは空気抵抗によって下へ下へと落ちるので、飛距離が格段に落ちます。

つまり、回転をかけることによるパワーロス=飛距離ダウンにプラスして、回転による飛距離ダウンが重なり、フラットに比べると球足が極端に短くなるのです。

これは、スイングパワーが一定の場合ですが、視点を変えれば、スピン系のショットをフラット系と同じスピードで同じ深さに打つためには、格段に大きなスイングパワーが必要だということです。

この辺の認識がないため、回転をかけようとしてかけられないプレイヤーがいます。
フラットで打ってちょうど良い深さに打てているラケットでスピン系のショットを打とうとすると、当然のことながらネットするか短くなってしまいます。
そのため、自分は回転をかけるのがヘタだと思い込んでしまうのです。

実は、ネットした時の打ち方が適切なスピン系の打ち方ができていた時で、足りないのは技術ではなく、パワー=飛ばす力なのです。
そのため、大幅にスイングパワーを上げれば上手くいくのですが、人間、そう簡単にはパワーアップできません。

パワーが足りないのに回転をかけようとして、なおかつ短くならないようにするには、打球軌道を上げるしかありません。

つまり、中ロブのような軌道になってしまうのですが、これでは、威力のあるスピンボールとは言えません。

スピンを簡単にかけるためには、ラケットをもっとパワーのあるものに持ち替えることです。
フラットで打ったら大オーバーというラケットに持ち替えれば、回転をかけてネットしていたプレイヤーは適切な深さに打てるようになります。

もともとスピン系の打ち方は飛びすぎを防ぐためのもので、フラットで飛びすぎていない状況では採用すべき技術ではないのです。

回転をかけることが上級者の証というような感覚でスピン系の打ち方を身につけようとする方も少なくないのですが、基本的に大きなパワーロスを伴うということをご理解いただきたいと思います。

十分なスイングパワーがない状態でスピンをかけると、球足が短くなるか、それを防ぐために中ロブになるかのどちらかです。

スピンをかけるメリットは、スイングパワーのあるプレイヤーがそのパワーを小出しにせずに、解放する打ち方をしても打球をコートに入れられるということです。

飛ばないラケットでは深さを出すためにフラット系の当たりになってしまうプレイヤーが、同じ深さにスピン系のショットを打ち込むためにはラケットを変えるしかないのです。

このように、上手くスピンがかけられるかどうかは、プレイヤーのスイングパワーとラケットのパワーとの関係で決まります。
スピンをかける技術を持っていても、ラケットのパワーが足りなければ、安定してスピンをかけることができないわけで、スピン性能の高いラケットを使えば誰でもスピンがかかるというものではないのです。

◆ヘッドスピードが上がらなければ回転量は増えない

2番目の「ヘッドスピードが上がらなければ回転量は増えない」というのは、ヘッドが走っていないと回転はかからないということです。

イメージ的表現ですが、インパクト直後にラケットヘッドがボールを追い越すくらいのヘッドスピードが出ていないと威力のあるスピンボールになりません。

インパクトの瞬間はとても短く、のんびりしているとすぐにボールが離れてしまうので、それくらいのヘッドスピードがないとボールに回転をかけられないのです。
遅いヘッドスピードで回転がかかるのは遅いショット、ショートクロスとスピンロブくらいです。

つまり、ラケットヘッドが素早く振り抜けていないと回転がかからないのですが、これを実現するのがなかなか難しいのです。

ボールを相手コートに入れるためにスイングに何らかの調節を加えている場合は、ラケットヘッドはスムーズに振り抜けません。
無造作に振り抜いてしまうと打球がどこへ行くか分からないというような不安な状態では、スイングのパワーを解放できず、ヘッドスピードは上がりません。

また、プレイヤーの身体反応とインパクト時のラケットの反応が合っていないとスイングの力がスムーズにボールに伝わらないため、ヘッドスピードが上がりません。

パワーが伝わりやすいラケットは、プレイヤーそれぞれで異なり、あるプレイヤーにとってはパワーがスムーズに伝わるラケットが別のプレイヤーにとってはボールが全然行かないラケットであることは珍しくありません。

ホールド性が高いラケットのほうが力が伝わって振り抜けるというプレイヤーが居る一方で、弾きの良いラケットのほうがヘッドスピードが上がるというプレイヤーも居ます。

弾きの良いシャープなラケットのほうが振り抜けるというケースでは、球離れの早いラケットのほうが回転がかかるという、一般常識と反対のことが起こるのです。

そういう場合、ホールド性の高いラケットに持ち替えると、ボールとの押し合いのようになってスイングスピードが鈍り、回転量が落ちます。

気持ち良く振り抜ける状態というのは、ラケットが合っていて、調節感なくスイングしてもきちんとコートに収まる状態なのです。

ということは、「振り抜きの良さ」というのもラケットの性能ではなく、プレイヤーとの相性に左右されるのです。

インパクトでの調節感がなくなると、つなぐショットと打ち込んだショットの深さの差が少なくなり、回転力で抑え込めるため振っても振ってもコートに入るようになります。

インパクトでラケットヘッドを上にずらしながら振り抜くという、スピン系の打ち方の基本が身に付いている状態で安定したスピンボールが打てないのは、ラケットが合っていないせいだと考えたほうが良いでしょう。

そこで、スピン性能の高いラケットへの持ち替えや、スピンのかけやすいストリングへの張り替えを検討するより、「身体に合うラケット」を見つけることのほうがずっと有効です。

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◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
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