テニスプレイヤーはボールを打てない

プレイヤーの誤解

テニスはボールを打つスポーツなのに「ボールを打てない」なんて言われると「何だそれ!」と思う方がかなり居ると思われます。
でも、それはもしかすると、ちょっと危険な誤解かもしれません。

というのも、「テニスプレイヤーがボールを打てない」というのはごく当たり前のことで、プレイヤーにできるのは「ラケットを振ること」だけだからです。
当然ですが、プレイヤーがボールを直接打つことはできないわけで、もし打ったら即座にポイントを失います。

ところが、「自分がボールを打って飛ばしている」という誤った感覚でプレーしている方は、現実的にはとても多いのではないでしょうか。

運動の内容が根本的に異なる

そして、この問題で最も大事なことは「ラケットを振る運動」と「ボールを打つ運動」とでは、運動の内容が根本的に異なるという点です。
なので、「ラケットを振ってプレーしている人」と「ボールを打ってプレーしている人」とでは、それぞれが全く別の運動をしていることになります。

「ラケットを振る運動」では、プレイヤーの運動の対象は「ラケットを」であって、ボールではありません。
それに対して、「ボールを打つ運動」では、プレイヤーの運動の対象は「ボールを」であって、ボールに直接力を入れて飛ばそうとするわけです。

「手応え=打球衝撃」の有無がキーポイント

そして、プレイヤーがボールを直接打っているような感覚に陥る理由は、ボールを打った「手応え=打球衝撃」が身体にダイレクトに伝わるせいで、そこで自分がボールを直接打っているような感覚が生まれるからです。

ボールがラケットに当たったときに発生する「手応え=衝撃」が身体に伝わると、誰でも、その「手応え=衝撃」に負けまいとして力が入ります。
打った時の手応えが身体に伝わり、その手応えに対して力を入れることで、自分の力でボールを飛ばしているような感覚に陥るわけです。

伝わりにくいラケット

そして、「打球衝撃」が身体に伝わるのは、ボールにパワーが伝わりにくい「飛びの悪いラケット」を使っているせいです。
ボールに伝え切れなかったスイングパワーが打球衝撃としてプレイヤーに出戻ってくるから「手応え」が生まれるわけです。
もしも、スイングパワーが効率良くボールに伝われば、「打った感じがしなかった」という感覚になり、手応えは最小になります。

さらに、手応えが小さくなって打った感じがしなくなれば、プレイヤーは力を入れて打ち続けることができなくなり、自然に力が抜けてヘッドスピードで振り抜く状態に移行します。

二つの運動の具体的な違い

先述したように「ラケットを振る運動」と「ボールを打つ運動」とでは運動の内容が根本的に異なりますが、具体的には以下のようになります。

「ラケットを振る運動」でラケットを速く振ろうとすれば、スイングのスタート時に力が入ります。
これは短距離走や車の発進と同じで、速く走ろうとすればスタートでの加速が大事だからです。
で、加速が終わってヘッドスピードが出たら、プレイヤーはそれ以上やることが無いので力は抜けて、ボールが当たるときにはラケットヘッドが惰性で振り抜ける状態になります。

それに対して、「ボールを打つ運動」でスピードボールを打とうとすれば、ボールに力を入れて飛ばそうとするので打点に向けて力が入ります。
でも、その力はインパクトで発生する打球衝撃に耐えるためのもので、ヘッドスピードを上げる効果はありません。
腕に力が入った状態では筋肉は固まり、手首も固まるのでラケットを速く振ることはできないわけです。

下半身の動きの違い

下半身の動きも両者で大きく異なります。
「ラケットを振る運動」では、スイング方向への体重移動が自然に発生して全身運動でラケットを振ります。
そして、下半身が有効に使えているときは上体の力が抜けるのでリラックスした動きになります。

それに対して、「ボールを打つ運動」では、ボールの衝撃に負けないよう足場をしっかりさせるため「踏ん張る」という動きが出ます。
「強打=強い手応え」というイメージがあると、さらに身体が固まります。

こうした「体重移動でラケットを振りながら身体全体で打つ」と「足を踏ん張って腕力でラケットを振って打つ」とでは、横で見ていても違いがハッキリ分かります。
「身体の各部分の動きを柔らかくつなげて打つ」のと「力で打つ」の違いは大きく、長時間に及んだ場合の疲労度合いも大きく変わります。

フットワークも軽くなる

そして、打感が軽くなるとフットワークも軽くなります。
具体的には、足の使い方が、「立ち止まって迎え打つような踏ん張り系」から「体重がスムーズに前に進むような送り込み系」に変わるわけですが、ラケットを持ち替えるだけでほんの数分の間に動きが変わる様子をラケットドックで何度も見ていると「テニスプレイヤーって器用だなぁ」とつくづく思います。

身体全体の力が抜けてリラックスした状態になると、流れるような動きで相手ボールへの反応が早くなります。
打感を軽くすると良いことばかりが増えるのです。

プレイヤーには責任が無い

ここまで書いてきたように「ラケットを振る運動」と「ボールを打つ運動」とでは運動の質が大きく異なり、その結果としてプレイヤーの戦力にも大きな違いが生まれるのですが、その違いを生むのはラケットで、プレイヤーには責任がありません。

ボールが当たったときに強い衝撃が発生するようなラケットやガット張りでは誰が打っても力が入り、「ボールを打つスイング」になってしまうのです。

強烈なショットを打つために必要なのは「速いヘッドスピード」であって「強い力」ではない上に、「強い力」は「速いヘッドスピード」を得ることを邪魔する障害物でしかありません。

ラケットを替えるだけで良い

頑張って力んで打っているのに打球が失速している状態から、リラックスしたスイングで強烈な打球を生み出す状態に変身するのに必要なのは、「軽く振り抜いて打球スピードが出るラケット」に持ち替えることだけです。

テニスワンの低テンション張上ラケットは「軽く打って打球スピードが出るラケット」です。

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