ツアープロ100T XR/TOUR PRO 100T XR/プリンス

ツアープロ100T XR
TOUR PRO 100T XR

誤解されやすい特性!?


もしかすると、2015年の初めに発売されたこのモデルは、その特性がちょっと誤解されているかもしれません。
それは、「自分が使うにはちょっとハードすぎるのではないか」と一般的なプレイヤーに受け取られやすい位置づけになっているからです。

「TOUR PRO」というモデル名自体がパワーヒッター向けの印象を与える上に、このモデルがラインナップされている「TOUR」シリーズには「競技系」という解説が付いており、そのシリーズの他のモデルは「TOUR PRO 95 XR」と「TOUR 98 XR-J」というハード目のスペックなので、それらと同一視されやすいのも仕方がないと言えます。

では、いったいこのモデルは本来的にどういう性格なのかが気になるところですが、シンプルに言えば、「一般的なパワーレベルを持った対象層の広いモデル」という解説が成り立ちます。

スペック的に見ると

その根拠を説明するには、外形スペックの数値に着目する必要があります。

カタログには「フェースサイズ100平方インチ、フレーム厚 20.0~23.0~22.0」とありますが、実はちょっと気になってフレーム厚を実測してみました。

すると、最大厚は23.5~6mmで、四捨五入すると24.0mmになります。

これを大ざっぱに「フェースサイズ100平方インチ、フレーム厚24mm」と読み取ってしまうと、テニスワンが現在、最も一般的なラケットとして評価している「スリクソン/REVO CX 4.0」と同じ数値です。
(「REVO CX 4.0」を最も一般的だと判断しているのは、テニスワンのラケットドックでのフィット率がこれまで長期的に安定して高かったことがその理由です。)

テキストリームカーボン

とは言え、外形スペックの数値をもう少し細かく見ると、20.0mmというシャフト部分の厚さに目が行くため「やっぱりそれほどのパワーは無いのではないか」という疑問がわくのですが、その疑問を解消するのが以下の素材についての説明です。

モデル名の「TOUR PRO 100T XR」に付いている「XR」の文字は、「TeXtreme(テキストリーム)」というカーボン素材を採用したモデル群の中の一つであることを示しています。

2015年の初めに市場投入された「XR」が付くモデル群には、スウェーデン製の特殊なカーボンシートが使用されていますが、その素材の特性は一言で表現すると「高強度」です。

カーボン繊維の強度が年々向上していることはご存じの方も多いと思いますが、このテキストリームカーボンは、大元のカーボン繊維そのものを言うではなく、カーボン繊維を樹脂で固めて作るカーボンシートのことで、カーボン繊維をシート化する際の製法が従来と全く異なるため、フレームに使用するカーボンシートになった状態で飛躍的な強度アップが得られたというものです。

つまり、この素材を使用すると剛性の高いラケットが出来上がるわけです。

そこで先程の説明に戻るのですが、このカーボンシートをシャフト部分に使用すると、そこの厚みを増やさなくても高い剛性が得られるので、20.0mmというシャフト部分の厚さがパワーダウンにはつながらないということです。

「厚み=剛性」という図式が成り立たなくなった

「フレームの剛性を上げればボールが良く飛ぶ」というのは、世の中に厚ラケが登場してからの常識で、それ以後は、「剛性を上げるためにフレームを厚くする」⇒「厚いラケットは良く飛ぶ」という図式が出来上がったわけですが、そんなこともあって、新しいラケットが紹介されると、私どもがまず目にするのは「フェースサイズ」と「フレーム厚」の数字です。

そして、その二つの数字が大きければパワーが有るというように頭で理解するわけです。

ところが、素材の進化はこうした定番的な図式の有効性を崩し始めています。

簡単に言えば、フレームを厚くしなくても、素材の強度が高ければ薄くてもパワーの有るラケットが出来上がるということです。

ラケットドックのフィット実績

発売後、かなり時間が経過したてからこんな解説を書いたのには訳があって、ラケットドックにおけるこのモデルのフィット実績の分析がその動機です。

このモデルのフィット実績を振り返ると、実は、フィットしたのは女性の参加者のほうが男性より多いのです。

このモデルによく似た名前の「TOUR PRO 100」については、フィットするプレイヤーのほとんどが男性なのに比べて、妙な結果だなと思ったのがキッカケです。

厚ラケを使っていた熟年女性プレイヤーであっても、このモデルのほうが打球の勢いが増すケースが何度かあって、そうした事実がこのモデルについての認識を新たにすることにつながったわけです。

ラケットに付随するさまざまな情報の影響で、ラケットの特性について何らかの先入観を持ってしまうのは避けがたい面がありますが、そうしたことで、本来のユーザー層が敬遠してしまう可能性もあります。

でも、ラケット・フィッティングでラケットがプレイヤーにどういう影響を与えるかという実験を繰り返すと、そのモデルの本来の特性が見えてきます。

一人ひとりのプレイヤーに合うラケットを見つけるのがラケットドックの本来の機能なのですが、その一方で、個々のラケットが実際にどういう性能特性を持っているのかが、その人体実験を通して見えてくるという副産物もあるわけです。

なので、このモデルは熟年女性でも十分使えるパワーレベルのラケットと言えるでしょう。

TOUR PRO 100T XRの特徴

このモデルの最大の特徴は、軽いタッチで打球スピードを上げやすいことだと思います。

そういう点では、フレーム剛性の高さは「硬さ」より、歯切れの良いシャープなレスポンスと弾きの良さをもたらしていると言えるでしょう。

「軽い弾き感」という表現ができると思います。

ですから、グリグリ回転をかけるより、スピード勝負というタイプに向いていると言えるでしょう。

「選手っぽいデザインとイメージだけど、結構誰でも使える」というのが、新たな魅力と言えるかもしれません。

「TOUR PRO 100 XR」の発売

2015年初めの発売から10ヶ月が経過して、追加アイテムが登場しました。
その名も「TOUR PRO 100 XR」。

「えっ、何が違うの?」と思われた方が多いかもしれませんが、よく見てください。
「100T」の「T」が取れています。

実際にフレームを見てみると、フェースの内側下部にあまり大きくない文字で「100T XR」と書いてあったのが、「100XR」になっており、フェース左右の内側と外側に記載されているモデル名についても同様ですが、それ以外のデザイン的な違いはないので、とても間違えやすい状態です。

実際問題として何が違うかと言えば、「TOUR PRO 100T XR」の重量設定が290gなのに対して、「TOUR PRO 100 XR」は310gの設定になっています。
でも、スイングウェイトのバラツキ範囲はあまり変わりません。

なので、20gの重量差がある同じモデルというようにご理解いただいて良いと思います。

ラケットの良し悪しが全て

このモデルについては、テキストリームカーボンという素材面に注目して解説しましたが、でも基本的には、「素材の進化=ラケットの進化」という単純な図式では考えないほうが無難でしょう。

現実の事例として、新素材や新規の構造を採用したモデルチェンジがターニングポイントになって、それまで人気のあったモデルが市場からの退場を余儀なくされたケースは少なくありません。
あくまで、素材の善し悪しではなく、出来上がったラケットの良し悪しが全てだと言えるでしょう。

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そのラケットの固有の数値(スイングウェイトストリング・セッティング)を測定した上で、プレー上で発生する違いを予測します。
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