打ち方は自分で決められない⁉

テニスのショット
打ち方は自分で決められない

このことを、長年プレーしていても知らない人は意外に多いようです。
「えっ、なんで、自分の身体の動かし方なんだから、自分で決められないわけはないだろう!」と思ったあなたも、その一人かもしれません。

これは、わざわざ言うまでもないくらい当たり前のことですが、もしもプレイヤーが自分の打ちたいように打ったら、相手コートにボールが入らないからです。

いまさらかもしれませんが、テニスで一番大事なテーマは「自分の打球を相手コートに入れること」です。
ですから、プレイヤーは常に打球が相手コートに入るように打たなければなりません。
相手コートに入るように打たない人はテニスプレイヤーとは言えないわけで、ということは、テニスプレイヤーである限り自分の好きなように打つことはもともとできないのです。

「打球が相手コートに入るように打つ」というテーマはテニスプレイヤーの本能のようなものなので、完全に無意識化しているため、プレー中にそんなことを考えて打つことはほとんどないはずですが、誰でもコートに立ったとたんにこのテーマにガチガチに縛られているわけです。

打ち方はラケットに左右される

今使っているラケットの二割増しで飛ぶラケットに持ち替えた場合、プレイヤーはその分抑えて振るか、順回転を多くかけるかしないと打球がアウトしやすくなります。

反対に、今より二割減で飛ばないラケットに持ち替えたら、今までより頑張って振るか、回転を減らすかしないと、球足が短くなったりネットしたりするようになります。

というより、それまでも自分の使っているラケットで打球が相手コートに入るように打ってきたわけです。
ですから、スイングの基盤は使っているラケットにあるわけで、ラケットを抜きにして理想のスイングを追求しても意味がないということになります。

そのため、ラケットを持ち替えればスイングは簡単に変わります。(ほとんど自覚されませんが)
というより、ラケットの特性に合わせて打ち方が調整されなければ打球が安定してコートに入るようにはなりません。
プレイヤーが「打球が相手コートに入るように打つ」というテーマに縛られている限り、「ラケットの持ち替え=スイングの変化」は避けようがないわけです。
⇒参照:ラケットを替えると打ち方が知らないうちに変わる

打つ前のボールの状態

テニスは、相手が打ったボールを打ち返すスポーツなので、打つ前のボールの状態は毎回異なリます。
そのため、プレイヤーは、打つ前のボールの状態に合わせて打ち方を変えないとまともに打ち返すことができません。
⇒参照:打つ前のボールの状態が返球に与える影響について

飛んで来るボールのスピードや回転方向、回転の強さ、打つ前のボールの移動方向が上昇中か下降中か、打点の高さなどのさまざまな要素が毎回違うので、それに合わせて打ち方を調節しないと、打球が相手コートに入らないだけでなくラケットにボールが当たりません。

プレイヤーがいくら「こうやって振りたい」と思っても、そのスイングが打つ前のボールの状態に合わなければミスが出るだけです。
理想のスイングがボールと微妙に合わなければ、打球の飛んで行く方向が狙いからズレて、全く合わなければ空振りになります。

「プレイヤーの意志」より「ボールの状態に合わせること」のほうが常に優先されなければならないわけで、この優先順位が狂うと、状況に合わない動きを繰り返すことになるのでミスが量産されます。
「こうやって振りたい」と思ってプレー中にスイングを工夫すると、ボールの動きとミスマッチになる可能性が高くなるわけです。

打球軌道のイメージ

テニスは自分がミスする前に相手がミスをすればポイントが取れるので、プレー中は相手が打ち返しにくいボールを打たなければなりませんが、打ち合いが続く中では状況が刻々と変わるので、有効なショットも毎回変わります。

コースの打ち分けだけでなく球質についても、高い軌道のスピンボールや直線的なスピードボール、サービスライン手前に落ちる短い打球、相手が差し込まれるような深い打球等々、勝つためには多様なショットが求められるのですが、それに応じて打ち方も変えなければなりません。

コースや球質については打ち方によって変わるので、これについては、やっとプレイヤーの意志を反映させることができそうですが、実は、それもやらないほうが良いのです。

なぜなら、狙う打球軌道を実現させるためのスイングをイメージして実行することができても、先述のように、そのスイングは飛んで来るボールに合わせて調節されなければまともに当たりません。
そして、飛んで来るボールの状態が最終的に確定するのは打つ直前なので、そこでスイング調節を考えても間に合わなくなる可能性が高いからです。

では、どうすれば良いかということですが、プレイヤーの意志で打ち方を決めるのではなく、「打ち方の決定を身体に任せてしまう」という方法があります。

実は、ある程度の練習を積んだテニスプレイヤーには、「イメージした打球軌道を実現するための運動を身体が勝手に組み立ててくれる」というとても便利な機能が備わっています。
ショットの目的と状況に合わせたさまざまな打ち方を身体が覚えてくれているわけです。

そして、この「身体で覚えた運動」は、プレイヤーがきちんとボールを見てさえいれば、ボールの状態に合わせて自動的に調節されるので、プレイヤーが考えてやるよりミスマッチになりにくいのです。

「身体で覚える機能」は誰にでも備わっているので、「打球軌道のイメージを設定して結果を把握する」を繰り返せばショットの精度は向上します。
それに対して、自分が考えた動きで打とうとすれば、毎回変わる状況とのミスマッチに苦しむことになります。

結論としては

1.相手コートに打球を入れるにはラケットに合わせた打ち方をしなければならない。
2.打つ前のボールの状態に合わせて打ち方を変えなければならない。
3.狙いどおりのショットを打ち出す方法は身体まかせのほうが良い。

ということで、以上の3つの理由から、打ち方は自分では決められないし、決めないほうが良いということなのです。

言われてみれば当たり前のことばかりですが、もし、これを読んで「へぇ~」と感じた方は、プレーの取り組み方をちょっと変えてみてください。
そうすると、プレー中に打ち方を意識することが減るので、ミスショットを大幅に減らすことができるでしょう。

というのも、プレー中のミスの多くは、プレイヤーの打ち方が悪かったからではなく、ボールの動きと身体の動きのミスマッチによって起こるのですが、打ち方に意識を向けるとボールへの意識が低下するのでミスマッチが増える原因になるからです。

打ち方を自分で決めたいときは

上達への意欲が有る方は、良いショットを打つために「打ち方の工夫」を常に欠かさないはずですが、そんなところに「打ち方は自分で決められない」などと言われると戸惑ってしまうのではないでしょうか。

でも、安心してください。打ち方は自分の意思で工夫できます。
ですが、それには条件があって、毎回同じ状態のボールが飛んで来ることが必要です。

先述したように、飛んで来るボールの状態が毎回違うと自分の思いどおりの打ち方はできなくなるので、それを一定にすることが必要です。
具体的には、球出し練習や壁打ちがそれになります。

ということで、毎回同じ状態のボールが飛んで来る「易しい環境」で「数え切れないくらい何度も繰り返すこと」がスイング改造を可能にする条件です。

ですから、2~3回やってうまく打てたくらいで、その打ち方を実戦で使うのはもってのほかです。
なぜなら、「数え切れないくらい何度も繰り返す」という「身体で覚える過程」が抜け落ちていると、ボールが飛んできても身体が自動的に動いてくれないからです。
そうすると、ボールよりスイングを気にしながら打つ状態になるのでまともに当たらなくなるわけです。

「身体で覚える過程」と「実戦では身体で覚えた動きで飛んで来るボールに対応する」は、完全に分けることが必要なのです。

プレー中に打ち方の工夫を繰り返していると、思いどおりに打てずにイライラすることが多くなり、ミスも増えます。
ですから、「打ち方は自分で決められない」ことをきちんと理解して、プレー中は「狙いの設定と結果の把握」の繰り返しに徹底することが次のステージに進む近道です。

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◇ボールが面からこぼれてネット
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◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
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