無意識的な運動は簡単に直せない

「無意識的な運動」は
簡単には直せない

向上心のあるプレイヤーほど、自分の打ち方をいろいろ改善しようとして、「ああしよう、こうしよう」という課題を抱えながらプレーしていることが多いのですが、自分の打ち方を簡単に直せると思うのは避けたほうが良いようです。

無意識的に打っていると考えている人はほとんど居ない

先述したように、プレー中のプレイヤーは「飛んでくるボールを見るだけで適切な動きを選択して、返球の狙いに応じてその動きを調整して実行に移す」という、「とても難しい作業を非常に忙しい中で何度も繰り返しやっている」のですが、この作業はほとんど無意識的に、かつ、反射的に行われているので意識上の負担にはなっていません。
無意識的な反射運動は、それをやっている本人にはあまり気苦労がないのです。
(ミスを繰り返しながらの練習という苦労を過去に積み重ねたおかげで、今は負担を感じないで出来るようになったわけですが。)
さらに、人は、「無意識的にやったこと=意識的にやっていないこと」については、それをやろうと判断した記憶が頭に残らないので、自分がそんなことをやったという自覚が生まれません。
そして、これは当然ですが、自分がやったという自覚のないことについては、「自分はそんなことはしていない」と思い込む傾向があります。
ですから、「プレー中に無意識的な運動をしている」などと人から言われても、「うん、そうだね」などと思うはずはなく、自分には特に思い当たることがないので「自分は無意識的な反射運動などしていない」と思うのが普通です。
(もっとも、本人に意識されないから「無意識的な運動」なのですが)
こうした仕組みで、多くのプレイヤーは「プレー中は自分の意志に基づいて動いている」と思い込んでいて、「無意識的に打っている」などと考えている人はほとんど居ないようです。

簡単に直せると思ってしまう

プレー中の「無意識的な反射運動」は、とても忙しい中で複雑なことをしているのですが、当の本人は気楽に何気なく打っていて「特に難しいことはしていない」と思ってしまうようです。
それが、そもそもの誤解のスタートラインなのですが、「プレー中は自分の明確な意志に基づいて動いている」と考えている人は、「自分は特に難しいことはしていない」だから、「自分の動きは自分の意志で手直しできる」と考えて、実際にそういう取り組みを始めるようです。
どういうことかというと、向上心のあるプレイヤーほど、自分の打ち方をいろいろ改善しようとして、「ああしよう、こうしよう」という課題を抱えながらプレーしていることが多いのですが、その根底にあるのは、「プレー中の自分の動きは意識的に変えることができる」という認識です。
それもそのはずで、「プレー中の自分の動きを意識的に変えるのは無理かもしれない」などと考える人は、現実的にはほとんど居ないので、「ああしよう、こうしよう」という課題を何も持たずにプレーしていると、上達への意欲が無いヤツだと思われてしまうくらいです。
でも残念ながら、練習を重ねて身体で覚えた無意識的な反射運動は、そう簡単には変えられません。
なぜなら、無意識的な反射運動は意識的に修正することができないからです。

無意識的な反射運動は意識的に修正できない

これは、ごく当たり前のことです。
なぜなら、無意識的な反射運動を意識的に修正しようとすると、それは「意識的な運動」にしかならないからです。
「こういうスイングに変えよう」とか「スタンスをこうしよう」とか、その他諸々の「ああしよう、こうしよう」という考えに基づいてボールを打とうとすることは、それ自体が意識的な動きをしようという取り組みなので、無意識的な反射運動ではなくなってしまいます。
そして、ボールを打つときの無意識的な反射運動が意識的な運動に切り替わると、無意識運動の反射的なスピードと柔軟な対応力が失われるため、動きが緩慢になってボールへの対応が硬直化します。
無意識運動のメリットがすべて失われてしまうわけです。
プレー中に打ち方を気にすれば気にするほど、動きがギクシャクしてミスが多発するのはこうした理由で、初心者のときのように、頭で覚えた動きを考えながら実行している状態に陥ってしまうわけです。
(緊張する試合でも同じようなことが起きます)
日常生活のようなスピードレベルであれば、無意識的にやっていることを意識化してもそれほど大きな支障はないのですが、テニスの場合は、もともと無意識的な反射運動でしか対応できないスピードの中のことなので、そこに意識的な運動を持ち込むとスピードのレベルが合わなくなって、ミスが起きやすくなります。
この、「無意識的な反射運動を意識的に修正しようとすると、意識的な運動になってしまうため、動きのスピードと柔軟な対応力が失われる」ということをきちんと理解するかどうかで、これからの練習のやり方も大きく変わるでしょう。

堂々巡り

このように、スイングを工夫したり、意識的に打ち方を変えようとする取り組みは、多くのプレイヤーが普通にやっているのですが、基本的にはちょっと無理目な取り組みと言えるでしょう。
長い間をかけて身体で覚えた「無意識的な動き」と、「ああしよう、こうしよう」という「意識的な動き」は絶対に両立しないので、プレー中に意識的な動きをしようとすると、両者がケンカするような状態になります。
その結果、「意識的な動き」が勝ったときは自分がやりたいように動けるのですが、そのときはボールとの同調性が失われてミスが多くなります。
それを反省して、ボールに集中して動きの改善を忘れるとミスは減るけれど動きは元どおりに戻ってしまう、というような「堂々巡り」の状態になります。


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無意識的な反射運動を修正するには

それでは、一度身に付いた無意識的な動きは後で直すことができないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
決してそんなことはないのですが、ただ、普通に行われている「意識的に直そうとするやり方」ではうまく行きにくいでしょう。

無意識運動とラケットの関係

「知らないうちに変わる」という状態を獲得する一つの方法として、意外かもしれませんが、ラケットの選択や調整が有効です。
なぜなら、ラケットを持ち替えるとプレイヤーの動きが「知らないうちに変わってしまう」からです。

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ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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