グリップテープを見直してみる

グリップテープの役割と影響を見直す

テニスプレイヤーのほとんどは現在、ラケットにグリップテープを巻いてプレーしていますが、「ラケットは必ずグリップテープを巻いて使うもの」というのが一般常識として固定化しているのが現状です。
その、誰もが疑問を感じないで使い続けているグリップテープですが、実際問題として本当に必要なものなのでしょうか。

どうしても必要だったのは
過去の話!?

だいぶ昔の話になりますが、グリップテープが市場に登場した頃のラケットのグリップには、レザー(天然皮革)が使用されていました。
天然皮革はクッション性が低い上に、使用によって「濡れて乾く」が繰り返されると縮んで硬くなるので、フレームショットなどの打球衝撃が強いため、プレーによって手にマメができる方の数は今よりかなり多かったと記憶しています。
ですから、ゴツゴツの感触を少しでも和らげるために、いろいろな素材のグリップテープが開発されて使用されるようになったわけです。

それに比べて現在のラケットに巻かれているグリップ材は「クッショングリップ」と呼ばれる人工素材で、文字どおりクッション性が高くて柔らかい感触のものが採用されています。
ということは、打球衝撃を和らげる必要性はかなり低くなったといえるわけです。

ですから、やみくもにグリップテープを巻くことを前提に考えずに、改めてその役割と影響を見直してみてはいかがでしょうか。

グリップテープを
巻くことの影響

グリップテープの必要性を論じる前に、グリップテープを巻くことの影響やメリットを再検証してみたいと思います。
1.グリップが太くなる
テープとはいっても、ある程度の厚みのあるものなので、当然ですが、これを巻けばグリップが太くなるのは避けられません。
2.グリップの感触が柔らかくなる
グリップテープを巻くことでグリップのクッション性が増して握り心地が柔らかく感じます。
3.グリップの角が丸くなる
角が立った状態のものに何かを巻けば、角が取れて丸くなります。
4.滑りにくくなる
ドライやウェットなど、グリップテープの素材を用途に合わせて選べばグリップが汗などで滑るのを防ぐことができます。

1.グリップが太くなる

グリップテープの厚さは、特殊なタイプを除けば0.6mm程度のものが多いようです。
ですから、これを巻けば半径で0.6mm、直径で1.2mm太くなりますが、さらに、テープが重なる部分は2.4mm太くなるわけです。
実際には、少し引っ張りながら巻くことで厚みも少し薄くなるので、重なった部分で直径2mm弱太くなると考えればいいでしょう。
グリップテープを巻くときに、全く重ねないで巻けば1mm程度のアップで済むわけですが、現実問題として、そういう巻き方をしている人は少ないでしょう。

これに対して、グリップの太さは1サイズアップで直径が約1mm大きくなります。
つまり、グリップテープを巻くとグリップの太さが1サイズ以上アップするという根拠はここにあるわけです。
ですから、グリップテープを巻かない状態で適切な太さのグリップサイズを選んだ場合、あとでグリップテープを巻くと、適正サイズより太くなってしまうわけです。

ただ、テニスラケットに元から巻いてあるクッショングリップ(元グリップ)にもタイプがいろいろあって、柔らかくてクッション性の高いタイプほど使用によってヘタって薄くなるのでグリップが細くなります。
ですから、新しいラケットの使い始めから巻かずに、ある程度使ってグリップが細くなってから巻けば、太くなりすぎる弊害を防ぎやすいと言えるでしょう。

2.グリップの感触が
柔らかくなる

最初に書いたように、グリップテープが広く普及し始めた頃のテニスラケットのグリップ素材には「天然皮革」が多く使われていました。
その後、シンセティックグリップ(科学素材)が使われ出してからも、クッション性能については現在のものよりかなり硬かったので、グリップテープの需要は増え続けて、現在のようにほとんどの人が使うようになったわけです。
ラケットの素材が木からグラファイトへと移る中で、素材剛性が硬くなって打球衝撃を強く感じるようになったことも、グリップテープがこれまで普及した陰の功労者と言えるでしょう。

3.グリップの角が丸くなる

グリップは8角形の形状ですが、その上に何かを巻けば角が取れて丸くなります。
グリップテープを2枚重ねで巻いたり、スポンジの入ったデコボコタイプを巻いたりするとさらに丸くなります。

4.滑りにくくなる

使い込んだレザーのグリップはツルツルになって滑りやすくなるので、滑るのを防止するためにグリップテープを使用する必要性があったことも、グリップテープの普及拡大を後押ししました。
現在のように、化学素材のクッショングリップ全盛の状態になってからでも、やはり、滑り防止のためにグリップテープを使用しているという方は多いようです。
ドライタイプとウェットタイプのどちらを選ぶかについては、個人の好みの問題のようで、季節によって夏はドライなどというように使い分けている方も居るようです。

プレー上の問題点

以上のように、グリップテープを巻くことの影響にもいろいろあるわけですが、プレーのパフォーマンスという観点から問題が出る可能性があるのは、「太くなる」「柔らかくなる」「角が丸くなる」の3つです。

1.太くなる弊害

太すぎるグリップを使うと、リストワークが制限されてヘッドが回りにくくなります。
グリップが太いとオフセンターヒットなどで面がぶれるのを防ぎやすいというメリットはあるのですが、固定しやすいというメリットは、器用に動かしにくいというデメリットと裏返しの関係なのです。
また、フェースの角度を微妙にコントロールしようとする際にも、太すぎるグリップは邪魔になるでしょう。
ただ、先述したように、柔らかいくて厚いクッショングリップも使い込めば硬くなって薄くなります。
ですから、グリップの太さ自体が流動的なので、グリップテープの必要性についても流動的に考えられたほうが良いでしょう

2.グリップが
柔らかくなる弊害

グリップの感触が柔らかいと身体には優しいように感じますが、プレー上は必ずしも良いとは言えないようです。
なぜかというと、グリップが柔らかいとインパクトの感覚がわかりにくくなるからです。
インパクトのダイレクト感がなくなると、クリアなインパクトとそうでないインパクトの区別が付きにくくなるため、質の悪いインパクトが放置されやすくなるようです。
これは、長いタイプの振動止めを付けた場合と似ていて、インパクト感が曖昧になると微妙なオフセンターヒットもOKになってしまうので、インパクトの質が全体的に低下してショットの切れが悪くなるわけです。
打球衝撃は抜けば抜くほど身体に良いと考えられがちですが、身体が適切に反応するためには、インパクトのダイレクト感を消しすぎるのも問題があるということです。

3.角が丸くなる弊害

グリップの角がわかりにくくなると、フェース角度の微妙なコントロールが難しくなります。
もしも、テニスラケットのグリップが円柱状だったら、右利きの人であれば、いちいち左手で面の向きを確認する必要が出てきます。
オフセンターヒットでグリップがずれたときも、そのまま次のショットを打つと打球があさっての方向に飛んでしまうので、その前に左手で面の向きを確認する必要がありますが、ラリーが続く中では無理でしょう。
グリップが多角形になっているおかげで片手だけでフェースの向きを感じ取ることができるのですが、その多角形のカドが取れて丸くなればなるほど、フェースコントロールが不正確になっていくのは避けられません。

解決策1

上記のような弊害を防ぐには、単純に、グリップテープを巻かなければ良いわけです。

現在のラケットに使われているクッショングリップは、昔と違って、それ単体で十分なクッション性を備えているものが多いので、グリップテープを巻かずに使っても、特に問題はないと思います。
交換用に用意されたクッショングリップ(「リプレイスメント・グリップ」などと呼ばれています)の中には細かい穴の開いたタイプもあるので、汗による滑りやすさも解消しやすくなっています。
グリップテープもクッショングリップも、使用によって消耗するので交換が必要ですが、交換の頻度はクッショングリップのほうが少ないでしょう。
ですから、クッショングリップのほうが値段は高くても、交換頻度を考えるとコスト的には大差ないと言えるかもしれません。
また、クッショングリップを交換する際は、最初から付いていたアイテムやブランドにこだわらず、好きなタイプを選べばいいでしょう。
汚れ防止を考えれば、グリップの色を白から黒へとカラーチェンジするのもありです。

グリップテープを巻かなければ、グリップが柔らかすぎてフワフワになることも避けられますし、グリップの角が丸くなるのも防げます。

プレーの際にグローブをする人は、それですでにラケットと手の間に別の素材が一枚入っているので、できれば、グリップテープを巻かない前提で考えられたほうが良いでしょう。

解決策2

もう一つの解決策は、クッショングリップを外してレザーに巻き替えてグリップテープを巻くというパターンです。
レザーのグリップのほうがクッショングリップより細く巻き上がるものが多いので、トータルであまり太くなりません。
また、レザーにグリップテープのほうが、クッショングリップ単体よりインパクトをダイレクトに感じ取りやすいでしょう。
さらに、レザーの場合は巻いたときの角の出方がハッキリするので、面がわかりやすいでしょう。
「もともと巻いてあるクッショングリップをレザーに替えてグリップテープ」というのが、できるプレイヤーの仕様です。

ラケット自体に問題が!

テニスワンが主催しているラケットドックの参加者の中にも、スポンジの入ったデコボコタイプのグリップテープや、2枚重ねでグリップテープを巻いているケースをたまに見ますが、ここまで書いてきたように、こうした仕様では、グリップが丸くなってフェースコントロールが雑になるのと、フニャフニャの過剰なクッションでラケットコントロールに支障が出る等のデメリットがあるので、あまりお薦めはできません。

ただ、参加者のラケットをチェックしてみると、どうしてもそういう仕様にしたくなる原因というのがあって、それは、ラケットの打球衝撃が強すぎるケースです。
フレーム特性がプレイヤーに合っていなかったり、フレームのスイングウェイトが軽すぎたり、ガット張りが不適切だったりすると打球衝撃が強くなり、その影響で面もブレやすくなるので、スポンジ入りのデコボコタイプや2枚重ねで衝撃を吸収するとともに、太くしてブレを抑えたくなるようです。
でも、打球衝撃が強くて面がブレやすいのは「ラケット自体の問題」なので、それをグリップで何とかしようとすると、先述したように、別のところで知らないうちに損をすることにつながります。

特に、メーカーが表示している推奨テンションを参考にして張っている場合は、張りが硬すぎる状態になっているケースが多いので、グリップテープでそれをカバーする必要性が出てくるのかもしれませんが、正しい対処とは言えないでしょう。

Click!⇒適切なスイングウェイトについて
同じモデルでもスイングウェイトの数値は1本1本の個体差が大きく、面の安定性やボールの飛びなどラケットの基本性能を左右します。この数値は、重量やバランスポイントなどのように静止状態の計測では測れないので、専用の機械で計測する必要があります…

Click!⇒ガット張りが不適切になる理由
テニスワンでは、これまで10,000名以上のプレイヤーのラケットとプレー状態をチェックしてきましたが、必要以上に張りが硬すぎるケースがとても多いことに驚いています。これは現実離れした「推奨テンション」の数値の弊害で、硬すぎると回転がかからずスッポ抜けのアウトが増えます…

リストバンドのほうが
効果的かも

グリップが滑るのを防ぐには、グリップテープよりリストバンドのほうが有効かもしれません。
多量に汗をかく時期は汗でグリップが滑りやすいのですが、その汗は手の平から出るのではなく、腕から流れてくるものがほとんどです。
手の平の汗は、暑いときにではなく、緊張したときに出るので、ガチガチに緊張しているとき以外の汗の防止は、リストバンドで腕からグリップへの汗をせき止めたほうが効果的だと思います。

※ジュニアプレイヤーの場合、グリップテープを巻かなくても太すぎるグリップを使っているケースが非常に多いので、グリップテープは巻かない前提で考えたほうが良いと思います。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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