手元重量を調整する方法とその意味
テニスラケットの
手元重量の調整
先日のラケットドックで、ヒッティングパートナーを努める徳重コーチの返球にちょっと安定感が無く、谷口コーチと「今日は徳ちゃん、調子悪いのかな」などと話していたことがありました。
何となくスイング感覚に違和感があるようで、谷口コーチも徳重コーチのラケットを振ってみて、ちょっと操作感覚が悪いという印象でした。
ちょうど私のラケットバッグの中にチューンナップ道具が入っていたので、休憩の間にコートサイドで徳重コーチのラケットのグリップレザーをはがして、中に8gほどの鉛テープを貼ってみました。
そしたら一転して、スイングが落ち着き球筋も安定したのですから、面白いものですね。
あとでメールがあって、「球出しもしやすくなった」とのことで、ストロークのように大きくスイングしないでも、違いが出るわけです。
このように、グリップ部分に重量を付加するのは別段珍しいやり方ではありません。
ただ、従来の解釈は、グリップを重くすることでバランスポイントがグリップ寄りになって、トップライトになるというのが一般的だったと思います。
こうした理解に対してTENNIS-ONEでは、「静止状態のバランスポイントを手前に持ってくるためにグリップ部分を重くしても、それによってトップ部の重量が軽くなるわけではないので、トップライトになるというよりグリップヘビーになるだけですよ。」と言ってきました。
グリップ部分を重くしても、実際にスイングウェイトは軽くなりません。
多くのテニスプレイヤーは、スイングウェイトとバランスポイントの理解がゴチャゴチャになっているようです。
「スイングバランス」などという言葉を聞くこともあります。
「バランスポイント=トップヘビーかトップライトか」という判断が一般的なのですが、「スイングウェイト=トップヘビーかトップライトか」という理解に変えたほうが話が早いでしょう。
バランスポイントはあくまで、トップ側重量とグリップ側重量の比較でしかありませんので、トップ側重量がいくら軽くても、グリップ側重量がそれよりさらに軽ければ、バランス表現上はトップヘビーになってしまいます。
そういう意味でバランスポイントは、重量やスイングウェイトのよう絶対値ではなく、比較の値だと言っても良いかもしれません。
この際、バランスポイントの概念を捨ててしまって、スイングウェイトと重量の2つだけでラケットを把握したほうが誤解が減ると思います。
感覚的には、スイングウェイトが270のラケットは、290のラケットに比べてトップライトだと言っても良いと思いますが、スイングウェイトが290で重量が300gのラケットに比べて、同じ290で重量が320gのラケットのほうが、バランスポイントの数値が小さくなるので、トップライトだとは、誤解の元になるのでいわないほうが良いでしょう。
スイングウェイトが同じ290でも、重量が320gと300gのラケットでは、グリップ部分の重さが異なるのです。
現在、市場に出ているラケットについては、極端な軽量化の流れはすでに終わっていますが、シリアス系のモデルでも300g前後のものが多くなっています。
そういうラケットのスイング感覚を変えて、自分のスイングに合わせるためには、グリップ部分に重量付加するという方法は有効です。
ラケットドックで見ている限り、グリップに重量のあるラケットとグリップが軽いラケットでは、それぞれに合うスイング傾向というものがあります。
振っていてグリップ部分が安定しないと感じる場合は、300g前後、あるいはそれ以下の重さのラケットであれば、グリップ部に重量を付加することも検討してみて下さい。
フェースのトップ近くに重量付加する場合は、1g単位の慎重さが必要ですが、グリップ部分については、結構ガバッとやらないと違いが出ないでしょう。
グリップテープだって4g程度はあるわけで、これを巻いて重くなったと思う方は少ないからです。
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