ミスショットを減らすには

テニスのミスを減らすにはどうすれば良いか
上達への近道

見極めの早さ

もしも、ストロークの打ち合いで、相手が打ってから0.5秒以内(その打球がネットを越える頃まで)に、こちらが打つときのボールの状態を正確に予測できる人がいたら、戦力的にはかなり有利だと言えます。

なぜなら、その人は、テイクバックをスタートさせる時点(相手が打ってから0.5秒後)からインパクト(1.5秒後)まで、何の迷いも混乱もなく、最初の予定どおりにスムーズにスイングできるからです。

それに比べて、初心者の方に多いのですが、飛んで来るボールの見極めが遅れて、インパクトの直前になってやっとボールの状態をきちんと把握できるようなケースもあります。
そうすると、必要な先行動作を行うことができずに準備不足でバタバタした動きになって、「ただ返すだけ」のような状態になります。
身体全体を使ってしっかり打ち返すには準備する時間が必要なので、できるだけ早い時点で見極めがついたほうがきちんとした対応ができます。

打つ前の「1秒間」が
カギを握っている

同じフォアハンドでも、飛んで来るボールによってこちらの対応を変える必要があります。
肩の高さからチャンスボールをフラットで打ち込むときと、スライスのスピードボールを膝下の打点で打ち返すときでは、それぞれに適したテイクバックの形や動きが異なるので、その適切な形に素早くきちんと入れるかどうかがショットの成否に大きく影響するのは間違いありません。

ということは、もしかすると、うまく打てるかどうかは「飛んで来るボールを素早く見極められるかどうか」がカギを握っているのかもしれません。
「見極めの遅れ」は先行動作のスタート遅れにつながり、「見極めの予測ミス」はボールとスイングのミスマッチを引き起こします。
どちらにしても、バタバタでギクシャクした対応になって、良いショットにはなりそうもありません。

いくら練習しても勢いのあるショットが打てないのは、スイングの問題ではなく、見極めが遅いために、いつも「差し込まれた忙しい状態」になってしまうので、一番勢いが出るタイミングとポイントで打てていないからかもしれません。
見極め判断が早く、かつ、読みが正確であれば、ボールの状態に合った適切なスイングの先行動作が早めにスタートできるので、狙ったコースにしっかり打ち込みやすくなります

ですから、先行動作の開始からインパクトまでの約1秒という時間の中の、どの時点で見極められるかがとても重要であり、それこそ、ゼロコンマ1秒でも早く正確に見極められるかどうかが、ショットの質やプレーのレベルを決めているわけです。
打ち方の問題ではなく、打つ前の問題なのです。

打つ前に
勝負はついている

ということで、飛んで来るボールの見極めが遅れたり、見極めの判断を間違えたりすれば、どんなに素晴らしい打ち方ができても、そのショットが成功する確率は低いでしょう。
「スイングはカッコ良いけれどミスばかり」というのは、こういう状態かもしれません。

素晴らしいスイングができてもミスが出る場合、本人は「今のはちょっとしたミスだ」と考える傾向があるようです。
確かに、「ちょっとしたミス」であることは間違いないのですが、強いプレイヤーはいくら待っても、その「ちょっとしたミス」が発生せず、強くないプレイヤーはすぐに発生するのが、トータルの戦力的な違いとして現れるわけです。

「ちょっとしたミス」を減らすには見極めの遅れや判断ミスを無くすことが必要なのですが、そこに手を付けずにスイングのことばかり気にしていると「勝てない上級者」になってしまいます。

なのに、自分の打ったボールが相手コートに飛んで行っているうちは「休み時間」だと考えているプレイヤーは結構居るようです。
「ボールがこちらのコートに飛んで来たときに対応すれば良い」と考えているわけです。

そういう場合は、ボールが飛んできてからあわてて動き始めるのですが、そんな様子を横から見ていると、「こりぁダメそうだな」というのが打つ前にわかるわけです。
ですから、飛んでくるボールに対して良い感じで身体が入っていく人が「うまい人」で、バタバタの状態でボールを迎えてしまう人が「ヘタな人」ということではないでしょうか。

ということで、「うまい人」に学ばなければならないのは「ラケットの振り方」ではなく、「飛んで来るボールへの適切な入り方」なのですが、でも、それが完璧にできている人から、そのコツを教わるのは難しいかもしれません。
なぜなら、その人は「すでにそれができてしまっている」ので、意識的にやっているわけではないからです。
さらに、その領域に到達するまでにやってきたことについては忘れてしまっている可能性が高いので、聞いても答えられないかもしれません。

たくさん練習しなければ、その「名人の領域」に到達することができないのは間違いないのですが、でも、「ああしよう」「こうしよう」と考えながらプレーしている限り、どんなに練習してもその領域には入れないでしょう。

打ち方を気にしながらプレーしている限り、飛んで来るボールの把握が甘くなるのは避けられないので、その領域から外れようとする努力につながってしまうからです。

同じ練習をするにしても、飛んで来るボールにスッと身体が入ることを目指した特別な訓練が必要なのです。

大事なのは
フォームではない

うまい人のフォームはキレイです。
ですから、それに憧れる気持ちはわかるのですが、その良いフォームをマネようとするのはやめたほうが賢明でしょう。
なぜなら、うまい人のフォームがキレイなのは、ボールを打ち返す動きが予定どおりだったからであり、途中で予定外のことが発生してバタバタすることがないので、フットワークやスイングがなめらかで華麗に見えるわけです。

その、スムーズな動きという結果だけに注目して、単純にそれをマネようとしても、その前段階が同じようにできていなければ、同じ結果にはなりません。
予定を立てるのが遅かったり、予測が間違っていたりすると、予定外の連続でドタバタ、ギクシャクするからです。
良いフォームで打てたというのは、ボールを打つ前に必要なことが全部きちんと遂行できた結果なので、そこに手を付けずに、良いフォームという結果の形だけを追い求めても、何も得られない可能性が高いでしょう。

成績優秀な人のテスト結果を見て、勉強せずにその高得点をマネようとするのに近いかもしれません。着目すべきところがズレているわけです。

また、良いフォームを固定的、画一的に考えるのは危険です。

なぜなら、「安定したショット」は「安定した動き」から生まれるのではなく、その正反対で、「安定しない動き」、つまり、「毎回適切に動きを変えられるかどうか」にかかっているからです。

うまい人のフォームはいつも一定のように見えますが、ボールへの入り方が安定しているので同じ動きのように見えるだけで、実際には、毎回適切にスイングが変わっているのです。
そうでなければ、異なる状態のボールに対してショットが安定するはずがありません。

フォームをマネようとすると、特定の動きをコピーすることになりますが、飛んで来るボールを適切に打ち返すには、無数の「良いフォーム」が必要なので、単一の運動イメージでは現実的な対応ができません。
ですから、良いフォームで打とうとしても、良いフォームにはならないでしょう。

「良いフォーム」は目標として目指すべきものではなく、「気がついたらそうなっていた」というような性格のものだとお考えいただいたほうが、余計な回り道を回避できると思います。

同調性が失われた状態

変な打ち方になってしまうのは、「突然目の前に出現したボール」を打つからであり、そのために、後手後手の対応になって準備が不十分の状態で無理に打つからです。
ですから、その状態から抜け出さない限り、変な打ち方は直らないでしょう。
私どもでは、それを「ボールの動きと身体の動きの同調性が失われた状態」と呼んでいますが、そうした「後手後手の対応」を防ぐための努力が間違った方向になっているケースも多いようです。

「早く」「前で」は的ハズレ

狙ったところに打ち込むことができなかったり、打球がヘロヘロになったり、あさってのほうに飛んで行ったりするのは、「ボールに差し込まれた状態」になっていることが原因というケースが多いようです。

飛んで来るボールに対して プレイヤー側の動きがほんのわずかに遅れているわけです。
あるいは、相手のボールが重くてうまくコントロールできなかったというケースもよくありますが、これは、打点が微妙に遅れてスイングパワーを伝えられないポイントで打ったために、ボールに押されて予定どおりに振れなかっただけであって、実際にボールの質量がそのときだけ変わったわけではありません。

そういう状態を自覚すると、振り遅れないようにラケットを早く引こうとか、打点を前にしようなどという「打ち方を修正する取り組み」が行われることか多いのですが、これはやらないほうが無難です。

ラケットを早く引く

というのも、振り遅れなど、ボールの動きに対して身体の動きが遅れている場合、もう少し動きを早くしようという気持ちはわかるのですが、そうした取り組みでは何も解決しないからです。

人との待ち合わせであれば、いつも遅れがちな人が早く行こうとするのは有効ですが、テニスの場合は早く行って待っていれば良いというわけではありません。
適切なインパクトポイントをボールが通過するのは一瞬で、そこをラケットヘッドが通過するのも一瞬です。つまり、両者が出会う適切なタイミングはわずかな一瞬でしかないので、それより早くても遅くても、ダメなことに変わりはないということです。

ラケットを早めに引いておけば振り遅れが防げると考える気持ちはわかるのですが、振り遅れが発生する根本原因は「ボールの見極めの遅れ」にあるので、そこから全てが後ズレして、バタバタになってしまうわけです。
なので、ラケットだけを早めに引いても、見極めの遅れが解消されるわけではありません。

そして、適切なタイミングでインパクトするためには、インパクトのずっと前からボールの動きに身体の動きが同調していることが必要なのに、ボールの動きとは無関係のタイミングでラケットを引いても、ズレているタイミングを合わせる手助けにはならないでしょう。

というより、飛んで来るボールの動きとピッタリ合ったタイミングで準備動作を開始させるべきなのに、いろいろある準備動作の中から「ラケットを後ろに引く」という運動だけを抜き出して単独で実行するのは、タイミング合わせのジャマにしかならなりません。

さらに、テイクバックはフォワードスイングの力をため込む過程なのですが、それだけを先に済ませてしまうと、垂直ジャンプをするときにしゃがみこんだまま静止するような状態になるので、フォワードスイングの力が逃げてしまいます。
ですから、「テイクバックの終了=フォワードスイングの開始」という状態にならないと、ムダな力を使うことになります。

テイクバックが遅れるのはダメなのは当然ですが、だからといって早ければ良いというものではなく、ピッタリのインパクトタイミングに向けて、一瞬だけ大きく引かれた状態が生まれるのが自然な姿だと思います。

打点を前にする

「打点を前に」という取組についても、スイングが遅れて食い込まれて打つことが多い場合、もっと前でボールをとらえようとする気持ちはわかるのですが、根本的な原因は「運動の時間の遅れ」にあるので、インパクト位置の修正では正しい対処にはなりません。
前で打つ練習を積めば、それができるようにはなるかもしれませんが、そういう姿を客観的に見ると、「泳いで打っているため打球に力が伝わらない状態」になっていることがあります。

スイングパワーが打球にうまく伝わるポイントは1箇所なので、そこより後ろがダメなのは当然ですが、前であればどこでも良いということではないわけです。

これが、「時間の遅れを位置の修正で対処したときの弊害」で、もともと、時間さえ遅れなければ正しい位置で差し込まれずにインパクトできるはずなので、作為的にインパクト位置を変える必要など無いわけです。

当たり前の話ですが、インパクトポイントは前でも後ろでもダメなことに変わりはないので、「前で打てば良い」と考えた時点でアウト!ということです。

打ち方の工夫が同調性を破壊する

ボールとの同調性が失われている状態、言い換えれば、ボールとの関係が切れている状態では、プレイヤーがどんな動きをしても関係が切れていることに変わりはないので、適切なタイミングのアクションになるはずはありません。

遅れたから早くしようという取り組みでは、ボールの動きと合っていないことの解決にはならないわけです。

ボールの動きに身体の動きを同調させなければどんなアクションもムダになるので、そこで最優先されるべきなのは「同調性の回復」です。

そして、それをジャマするのは「打ち方の工夫」です。
その理由は何度も言いますが、プレー中に打ち方を意識することで「無意識的な運動」が阻害され、ボールとの同調性が失われるからです。

ミスを防いで、ショットの威力と精度を上げるために必要なのは、「打ち方を工夫する」ことではなく、「ボールの動きと身体の動きとの同調性を高めて、それを維持すること」です。

反省と工夫をしない練習

「打ち方を工夫する」ことが上達への唯一の道だと思っている方は、「打ち方を工夫しないのでは、何に取り組めば良いのかわからないじゃないか」と思われるかもしれません。

とりあえず、最初の取組は「打ち方を気にしないで打つ」ことですが、長年やってきたことを捨てるのは簡単ではないでしょう。

そして、さらに難しいのは、ミスが出たときに「反省と工夫をしない」という取組です。
その理由は、「次のショットでは前回の反省と工夫は生かせない」からですが、性格的にマジメな方ほど、この取組は難しく感じるでしょう。


以下はこの記事グループの構成です。

テニスラケットの良し悪しは自分ではわからない

テニスのショットは「無意識的な反射運動」!?

1.打点の高さに応じたスイング軌道の変化

2.ボールのスピードに対応するためのスイング調節

3.ボールの移動方向に合わせたスイング調整

4.飛んで来るボールの回転に合わせたスイング調節

「テニスプレイヤーがコート上で無意識的にやっていること」

「上達への近道」—その1.自分の打ち方は自分の自由にはならない

「上達への近道」—その2.ミスを減らすために必要なこと

「上達への近道」—その3.打ち方を直すには

テニスでは上達を自覚できない

テニスラケットが合っているかどうかは自分ではわからない—まとめ

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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