試打して買うと間違える理由-No.2

テニスラケットを
試打して買うと間違える
理由その2

ラケットを試打して選ぶ際に陥りがちな「判断間違い」について書かせていただきます。
試打で得られる情報の取捨選択を間違ってしまうと、ラケット選びも間違えてしまいます。

購入を検討している候補ラケットを実際に使ってみることができる試打というシステムは、買い間違いを防ぐためのとても有効な方法のように思えるのですが、試打して買っても期待した結果が得られないケースが数多くあります。
前号の「試打して買うと間違える—理由その1」では、買い間違える原因は、買ったラケットの内容が試打したラケットとは違うことにあるということを書きましたが、今回は、試打の取り組み方そのものに問題があるのでは、というテーマで書かせていただきます。
結論から先に書かせていただければ、「ラケットの【感覚】を把握しようとすると、ラケットの【効果】を正確に把握しにくくなる」ということです。

試打しても決められない

試打した結果について、男性の方は良し悪しをハッキリ表明することが多いのですが、女性の方は「試打しても何が良いのかよく分からない」と言われる方が多いようです。
試打しても何が良いのか自分で決められないというのは、道具オンチのようでちょっと気恥ずかしいのか、男性の場合はメンツみたいなものもあって何らかの結論を出そうとするようですが、実際のところは、決められないという女性のほうが正しい結論なのかもしれません。

というのも、打球感という「打ったときに身体に伝わる情報」がラケット毎に違うのが分かったとしても、自分に合うのはどれなのかという結論を出すためには、何をどのように判断すれば良いのかが分かりにくいのです。

「好き嫌い」に頼りがち

そして、自分に合っているかどうかを判断するための合理的な基準が見つからないときに、往々にして採用されやすいのが「好き嫌い」という判断基準です。

この判断基準にはあまり理屈っぽいところがないので、分析や検討をすることなく、一気に結論に到達してしまうことが可能です。

女性の場合は変なメンツもなく、道具オンチでも別にかまわないので、無理に好き嫌いで判断することなく、「分からない」という結論を選択するのでしょうか。

こうした、「打球感の好き嫌い」に頼らざるを得ない試打の取り組み方そのものに、誰もが陥りがちな問題があるようです。

慣れているものから離れにくい

打球感というのは、ある面で、臭いの感覚と近い性格があるようです。
嗅覚には慣れやすいという傾向があり、自分の家の臭いには気付かなくても、他人の家の臭いには敏感だったりするのですが、それと同じように、ボールを打ったときの打球感も、しばらく使うとそれに感覚が慣れてしまうため、特に好き嫌いを感じにくくなるようです。
そういう状態で、今までと違うラケットを使うと、そこで新しい感覚に出会うことになります。
そして、その感覚が今まで使ってきたものに近いと親和感を覚え、大きく変わると違和感を覚えるという傾向があるようです。

ですから、今まで使ってきたものと近いかどうかによって打球感の好き嫌いが決まるというケースが多いようです。

でも、今まで使ってきたものが合っていれば良いのですが、そうではなく、ただ慣れていただけというのであれば、打球感の好き嫌いで選んでいる限り、同じようなラケットから離れられないということになるわけです。

「打った感じ」に注意を向けることが多い

買おうかどうしようかと迷っている意中のラケットを試打するとき、プレイヤーは「そのラケットでボールを打ったときにはどんな感じがするのか」という点に意識を集中させることが多いようです。
ボールを打ったときの印象を、こと細かに感じ取ろうとするわけです。
身体に伝わる「打球感」は、痛みやかゆみと同じように身体の内部に直接伝わる情報ですが、試打の際は、そこに注意を向けて「ボールを打ったときにはどんな感じがするのか」を漏らすことなく詳細に感じ取ろうとすることが多いようです。

打球感以外のことに注意が向きにくくなる

そうすると、人の意識は同時に複数の対象に向けるのは難しいので、何かに注意を向けることで、その他のものには注意が向きにくくなります。
考え事をしていると人の話が耳に入りにくくなりますが、それと同じようなことがプレー中に起きるわけです。
「ボールを打つことで発生する感覚」に注意を向けると、意識が身体の中に伝わる感覚(体感覚)に注目する状態になり、それ以外の、「身体の外で起きていること」に対する意識レベルが下がるわけです。

「身体の外側で起きていることと」いうのは、テニスのプレーにおいては、「コート上で何が起きているか」ということです。

もちろん、「コート上で何が起きているか」に対する認識レベルが低下するといっても、打ち合いが続けられるくらいの状況把握はできるのですが、「自分の打った打球がどういう状態なのか」というところまでは注意が届きにくくなるということです。

打球の状態

「自分の打った打球がどういう状態なのか」というのは、具体的には以下のようなことです。

弾んだ後の打球の勢いはどうか。(伸びと勢い)
自分の打球の高さと落下地点はどの程度まとまっているか。(安定性)
狙ったポイントに打ち込めているか。(正確性)

そして、打った感じに気を取られると、上記のような点に注意が向きにくくなるようです。

打球の状態が一番重要

テニスでは、基本的にボールの動きでポイントが決まるため、「ボールがどう動いたか」ということがとても大事で、それに対して、「プレイヤーがどう動いたか(スイングやフォーム)」というのは、実は、どうでも良いことなのですが、それにも増して、「プレイヤーがどう感じたか」などということは、さらに、どうでも良いことなのです。
ですから、打球の「勢い」「安定性」「正確性」というのは、ラケットを選ぶ上で最も大事なチェック項目なのですが、どうでも良いこと(=打球感)に注意を向けることで、こうした大切なことに注意が向かなくなるということが、通常の試打では起きやすいわけです。

もっとも、多くの方が、ラケットの性能とプレイヤーとの相性次第で打球の状態が大きく変わるとは考えていないため、最初からそこには注意を向けていないというケースもかなり見られます。

でも、もし、打球の状態が変わらないのであれば、そもそも、ラケットを持ち替える意味がないとも言えるのですが—-。

初速はあまり関係ない

打球の勢いは、プレイヤーとラケットの相性次第で大きく変化することがあります。
飛びの良いラケットを使うと打球の勢いが増すというような単純なことは起こらず、相性が良ければ打球の勢いが増して、相性が悪ければ良く飛ぶラケットでも打球がヘロヘロになります。
打った感じ(=体感覚)に注意を向けている状態でも、ある程度は自分の打球の速度は感じ取れるのですが、把握できる範囲が狭いため、打った直後に身体から離れていく打球の速度(=初速)を感じ取るくらいで終わってしまうようです。

でも、打球の勢いで最も重要なのは初速ではなく、相手コートで弾んだ後のことです。
打った直後の初速がいくら速くても、伸びのない打球は後半に失速して、弾んだ後にはおとなしくなってしまいますが、そんな打球では相手にプレッシャーを与えることができません。

相手にどれだけのプレッシャーを与えられるかを決めるのは、相手が打つ直前のボールの勢いなので、初速はあまり関係ないということです。
コートの向こう側で打球がどうなっているかを正確に把握しないと、ラケットの効果の違いをきちんと理解することができないのです。

「好き嫌い」は無視する

ということで、試打でチェックすべきなのは、それぞれのラケットで打ったときの「打球の状態」であり、それ以外のことは実際のところ、あまり重要ではありません。
間違いなく言えるのは、打球感の好き嫌いでラケットを選んでいる限り、自分のパフォーマンスが上がるラケットは手に入りにくいということです。

もちろん、「好きな打球感のラケットを使う」というのも人それぞれの価値判断ですから、そういう判断基準で選ぶのは間違いだと決めつけることはできないでしょう。
でも、このブログのタイトルでもある「勝つためのラケット選び」という方向でラケットを選ぼうとする際には、好き嫌いという要素は無視したほうが賢明です。

相手に聞く

とは言っても、自分の打球の状態を正確に把握するというのは、かなりの上級者でも簡単ではありません。
なにせ、相手コートでのことですから、距離的にもかなり遠く、ラリー中はとても忙しいので、飛んでいくボールをノンビリと観察というわけにもいきません。

ですから、プロ選手の場合でも、試打の際には「打球は行っていますか?」と相手や見てくれているコーチに聞くわけです。
この「行っているか」というのは、「伸びているか」という意味です。
ラケットを持ち替えたときの「打球の効果の違い」を正確に知るためには、身体で感じる感覚は無視して、打球の状態をできるだけ客観的に観察し、相手に打球の印象の違いを聞き、周りで見てくれる人に聞くというのが有効です。

プレイヤーの感覚より、実際にコート上で起きていることを重視することが、ラケット選びで間違えないためのコツなのです。

ラケットドック

勝ちやすいラケットとは、相手にプレッシャーを与える打球を無理せずに打てるラケットであり、特に気を使わなくてもショットが安定するラケットであり、狙いをイメージするだけで自然にボールがそこに飛んでいくラケットです。

そういうラケットを見つけるには、ただ打った感じを確認するだけではダメということがお分かりいただけたと思いますが、結果的に、試打というもののハードルが、かなり上がってしまったかもしれません。

もし、もっと簡単に勝ちやすいラケットを見つけたいと考える方は、ラケットドックへの参加をご検討ください。


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GUT LIVEなんて必要ない!
ガットの動きが悪いせいで起きるネットやアウトを、全部自分のせいだと思い込んでいる人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにスルッとネットすることが多くなります。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、ガット面から打ち出されるボールの角度が毎回変わるので、その影響で打球の深さが不安定になります。

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