選び方ガイド4/ グリップサイズ–①
グリップサイズについては太すぎず細すぎずという選択がベストです。少し太くしたら面がブレにくくなったからといって「もっと」と考えると、知らないうちに損をすることがあります。「太いほうが良い」「細い方が良い」ということではないのです。
テニスラケットの
グリップサイズの選び方
テニスラケットのフレームには、グリップの太さが数字で表示してあります。
ごくまれに、数字以外のアルファベットが記載してある場合がありますが、これは、重量に関する表記ですので、数字であれば全てグリップサイズだとご理解ください。
仮に、「SL3」とかの表記があった場合、「SL」は重さの表示で「3」がグリップサイズです。
◆グリップサイズの表示場所
グリップサイズが表示してある場所はラケットブランド毎に異なり、ウイルソンとヨネックスはグリップの少し上のフレームサイド、バボラ、ダンロップ、スリクソン、フォルクルなどはスロートの内側(フレームシャフトで構成される3角形の内側部分)、プリンスはグリップエンドなどという具合になっています。

◆表示内容の意味
表示内容は、1とか2とかの整数であったり、4と1/4とかの分数だったり、あるいは、両方が併記されていたりします。この場合、整数と分数の関係は以下のとおりです。
1=4と1/8
2=4と1/4
3=4と3/8
4=4と1/2
これだけ見ると覚えにくい気がしますが、整数は分母を8にした時の分子の数字だと覚えてください。
1/4は、=2/8ということで⇒2
1/2は、=4/8ということで⇒4です。
分数表記の単位はインチで、もともとはグリップの外周の長さを表示したものですが、分数同士では、見てのとおり数値の大小が直感的に比較しにくいので、整数表記によってそれを簡素化したとご理解下さい。
整数であっても分数であっても、数値が大きいほうがグリップが太いということを示しています。
◆基本的な選び方
グリップを握った時に、薬指の指先と親指の付け根のふくらんだ部分との距離が8mm程度というのを、私どもではサイズ選択の一応の基準としています。
(※この判断基準は、私どもがこれまでに実施した数千名を対象にしたラケットフィッティングの実績に基づくものですので、これと異なる意見があることを否定するものではありません。)

これは、グリップサイズの選択が、広げた手の大きさだけで決まるのではないということです。
グリップサイズの選択は、手の平の厚み等で大きく影響を受けます。
手が小さくても手の平が薄ければ意外に太めのグリップが握れたり、大きくても手の平がぶ厚い場合は、適切なグリップサイズが意外に小さかったりします。
「慣れ」の要素もあるため、基準より細かったり太かったりしても何とかなってしまうということもありますが、握力が弱い場合は太さが合わないと疲労につながるので、適性サイズから大きく外れないほうが良いでしょう。
◆グリップサイズの性別構成比
私どもが、これまでのフィッティング実績に基づいて把握している男女別のグリップサイズの構成比は、だいたいの目安として、以下のようになっています。
成人男性:グリップ1/10%
グリップ2/55%
グリップ3/25%
グリップ4以上/10%
成人女性:グリップ1以下/30%
グリップ2/60%
グリップ3/10%
手の大きさ自体は当然、男性のほうが平均的に大きいのですが、手の平の厚みもあるため、結果的に、男女で大きくずれることなく、グリップ2が中心サイズになっているようです。
◆太さのメリット・デメリット
グリップは、太いほうが手の中で回されにくくなります。
中心を外したインパクトが起きると、その衝撃でグリップが回されやすくなりますが、太いほうがそれに対抗して抑え込みやすいのです。
グリップを固定しやすいのは太いほうと覚えていただくと良いでしょう。
反対に、細いほうが手首は動かしやすいわけです。
バドミントンのようなリストワークは、バドミントンのラケットのようにグリップが細いほうがしやすいわけです。
テニスのショットでも、リストワークを多用するサーブなどでは、細いほうが手首は自由に動きやすく、太いグリップはラケットヘッドが回りにくくなります。
◆可もなく不可もなくが良い!?
これは、ラケットについて考える際に、グリップサイズ以外についても全般的に言えることで、とても大切なことなのですが、デメリットを無くすまでが適切な修正であって、プレー上でメリットを感じる修正には落とし穴があるということです。「可もなく不可もなく」という状態が良いわけです。
ラケットのパワーレベル、ストリングの硬さ、スイングウェイトの調整、等々について、プレーが良くなるようにいろいろ検討される方も多いのですが、その際に大切なのは、支障を感じなくなるとことまでが適切なレベルであって、プレー上で何らかのメリットを感じるような状態にしてしまうと、メリットの裏返しのデメリットが気付かぬところで発生することがよくあります。
グリップサイズについても、少し太くしたら面がブレにくくなったからといって、「もっと」と考えると、知らないうちに損をすることがあります。
ですから、「太いほうが良い」「細い方が良い」ということではなく、太すぎず細すぎずという選択がベストです。
◆太め好みが多い!?
太すぎても細すぎても弊害があるのですが、一般的な傾向としては、どちらかといえば太すぎるグリップを使用しているプレイヤーのほうが、細いケースより数的には多いように見受けられます。
特に、ストロークが好きなプレイヤーは太めを好む傾向があるようです。それは、先述したようにオフセンターヒットによる面ブレを強引に抑え込みやすいからのようでです。
ただ、太すぎるとボレーの面作りがアバウトになりやすかったり、サーブでヘッドスピードを上げにくかったりすることもあるので注意が必要です。
◆面がぶれるのは他の理由!?
インパクトでラケットがぶれる感じがすると、グリップを太くして抑えたいと考える傾向があるようですが、グリップが細すぎてブレやすいのでなければ、太くするのはやめたほうが良いかもしれません。
スイングウェイトが軽すぎたり、ストリング・セッティングがハードすぎたりすると、インパクトの衝撃が強くなるため、ほんの少しのオフセンターヒットでも面がブレやすくなるのですが、それを、グリップを太くすることで抑え込もうとすると、本来の対処方法ではないために、別な弊害が出ることがあります。
◆グリップテープの影響
太すぎるケースが多い背景にはグリップテープ使用の影響もあります。グリップテープを巻くことでグリップは約1サイズ分太くなるため、グリップ2に1枚巻くとグリップ3になってしまいます。
適切なサイズを選んでから、習慣的にグリップテープを巻いてしまうと、常に太すぎる状態で使うことになります。
◆2枚以上巻くのはノーグッド
グリップテープを2枚以上巻いているプレイヤーがたまに見られますが、これはあまりやらないほうが良いでしょう。グリップテープを重ねることでグリップの角が丸くなり、クッション性も高まるためフワフワします。
グリップの角が丸くなると手の平の感覚で面の方向を感じ取ることが難しくなり、ボレーなどの面が分かりにくくなります。
また、グリップのクッション性が高すぎるとインパクトの情報が手に伝わりにくくなり、プレイヤーの力をボールに伝える際にもタイムラグが発生するようになります。砂浜を歩くと着地は柔らかいのですが、それによって蹴る力も逃げてしまいジャンプしにくくなるのと同じです。
グリップが細すぎる場合は、グリップテープを重ねるのではなく、元のグリップを外して下地に加工するなどの方法で、角がある状態で太くすることをお勧めします。
◆新品はしばらく使ってから巻く!?
新品のグリップはクッションが柔らかくてフワフワしているために太めに感じる場合が多いのですが、そういう時はすぐにグリップテープを巻かずに、しばらく使って、クッションがへたって少し細くなってから巻くという方法もあります。
◆レザーにグリップテープ
グリップテープが普及し始めた頃のラケットは、グリップ部分がレザーだったり、シンセティックグリップであってもクッション性が低いものが多かったので、グリップテープでクッション性が増すことは良かったのですが、現在のラケットのグリップは充分なクッション性を備えているものが多いと言えます。
ですから、そのままでグリップテープを巻くと感触がフワフワしすぎるため、インパクトのダイレクト感が失われることがあります。
そういう場合は、元のグリップを革製のものに巻き替えてからグリップテープを巻くと良いでしょう。
革はクッショングリップよりフワフワしないため、ボールのインパクト情報が手に伝わりやすくなります。
振動止めなどについてもそうですが、衝撃はできるだけ吸収したほうが良いと考えている方が多いのですが、吸収しすぎてもプレー上は支障が出る場合があります。手に伝わるインパクトの情報を消しすぎると、コントロール感覚がルーズになることがあるのです。
ボールのインパクトをダイレクトに感じ取れるようにするためには、 消し過ぎないことが大切です。
◆グリップは大切!
グリップはプレイヤーとラケットを接続する大事な接点です。この部分の状態が悪いと、手とグリップの密着度が低下して微妙なラケットコントロールがしにくくなり、それが原因でインパクトにわずかなズレが生じることがあります。
プレイヤーが自覚しなくても、手とラケットの密着度の低さがミスの原因になることがあるので、ストリング面が手の平の延長のように感じられるくらいに密着度を高めて下さい。
グリップテープの交換やクッショングリップの巻き替えをこまめにやることで、プレーしやすい良い状態を維持することが大切です。
今までの習慣だからと何気なく巻いているグリップテープも、一度再考されてみてはいかがでしょうか。グリップテープを巻かずに、元のクッショングリップを交換して使うこともご検討下さい。
◆グリップサイズの昔話
昔々、約40年くらい前のウッドラケット全盛の頃、テニスショップの売り場に展開されているラケットのグリップサイズの種類は3、4、5の3種類でした。インチで言うと、4と3/8、4と1/2、4と5/8ということです。
それが現在では、4(4と1/2)というグリップサイズの設定があるモデルは数少なく、ほとんどは1、2、3の3種類となっていますので、昔に比べると2サイズ分細くなったということです。
その理由については諸説いろいろ有りますが、グリップテープの普及、基本スイングの変化、フレーム重量の軽量化、ラケットフェースの安定性向上等々が複合的に影響してきたのだと思われます。
◆グリップのサイズ展開が狭い
ただ、多くのプレイヤーと接している立場から言わせてもらえば、現状のサイズ構成は必ずしも満足のいくものではありません。
グリップ4が必要な男性プレイヤーはかなり居るのですが、それに対して、4の設定のあるモデルはかなり限定されています。
逆に、女性で手の小さい方はグリップ1でも太いというケースもあります。
また、モデルによっては1と2だけ、あるいは、2と3だけという設定になっているケースも見受けられますので、そのモデルが合っているプレイヤーでも、合うグリップサイズが選べないケースも見受けられます。
女性であっても、ハードなスペックのモデルが合っているというケースもあるのですが、そういうモデルはグリップ1の設定が無いというケースも少なくありません。
グリップサイズの展開を拡げることは、ラケットメーカーの対応としては今後も期待できそうもないので、モデル選択の際には展開しているグリップサイズのことも考慮に入れながら選ぶ必要があります。

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