伸びる打球の仕組み—その2

テニスのショット分析
伸びる打球の仕組み—その2

前回は「伸びる打球の仕組み—その2」で「打球の伸び」について書きましたが、伸びるのではなくコートに落ちたときの減速が少ないのであって、それを伸びていると感じるということでした。

今回は、着地時の減速率に影響するボールの回転と軌道についてお伝えしたいと思います。

飛ばないラケット

テニスのミスはネットとアウトに大別されますが、ネットは自分のせいで、アウトはラケットの性能の影響だと判断されることが多いようです。
その証拠に、張替の相談をお受けする時に、ネットを防ぎたいからというご希望をいただくことはあまり無いのですが、アウトを防ぎたいというご希望はよく伺います。
少なくとも、ネットを防ぐためにラケットを持ち替えようという方は、アウトについてそう考える方より、数的にはずっと少ないようです。

自分では良い感じで打てたと思った打球が少しアウトすると通常は、ストリングやラケットでもう少し飛びを抑えたいと考えるわけです。

失速する打球のスタートライン

実はこの、「ラケットの飛びを抑えてアウトを防ごうとする」ことが、「失速する打球」のスタートラインなのです。

確かに、フェースの小さいモデルや細かいストリングパターンのラケットを使うと、同じ力で打った時にボールの飛距離は落ちます。
飛ばないラケットに持ち替えた時は「ガンガン打ってもアウトしない」ことが嬉しく感じられます。

ですが、ラケットを飛ばなくしてアウトを防ごうとすると、打球が失速するのは避けられません。
なぜなら、飛ばないラケットでボールが入るのは、文字どおり「飛んでいない」からであって、「飛んでいないボール」がコートに入っている状態は、「失速」以外の何ものでもないからです。

回転を減らして飛ばす⇒失速

スイングパワーが一定の場合、ラケットが飛ぶ状態であればあるほど、打球の回転量が増えるという傾向が多くのプレイヤーに見られます。
まともに当てたら飛んでいってしまうので、無意識のうちに回転で抑え込もうとするわけです。

その反対に、ラケットが飛ばなくなればなるほど、回転量は減る傾向があります。
飛ばないラケットで回転をかけると短くなってしまうので、無意識的に回転を減らして飛ばそうとするわけです。

飛ばないラケットでボールがコートに入っている状態とはまさにこういう状態で、回転量が少ないボールが空気抵抗と重力に負けて失速してコートに落ちているのです。
逆に言えば、回転量が少ないボールは失速しなければコートに入らないのです。
バーンと飛んでいっても最後はポトンと落ちるような状態です。

飛ばないからアウトする

回転量が少なすぎると棒球になってアウトする確率も増えるのですが、これは飛びすぎているのではなく飛ばないからアウトしている状態なのです。
(※私どもはこれをプッシュアウトと呼んでいます)
そのため、アウトするからといってさらに飛ばないセッティングにすると、さらにアウトが増えます。
そうしたアウトを防ごうとして回転をかけると、今度は極端に短くなってサービスラインまで届かなくなったりするので、また回転を減らした打ち方に戻ってしまうということの繰り返しが起こりやすくなります。

飛ばないラケットでアウトが出る場合、必要なのはラケットのパワーを抑えることではなく、その反対で、スイングパワーを強化することなのです。
そして、それがすぐには望めない場合は、飛ぶようなセッティングに変えて打球を押さえ込める状態にしないとアウトは減らせません。

軽い球

直線的な弾道でバックネットを直撃するような勢いのある打球が、押さえ込まれてコートに入ると、弾んだあともまだ前に行くエネルギーがあるため、コートの摩擦抵抗にも負けずに減速の少ない伸びる打球になります。
ですが、特に押さえ込まなくてもコートに入ってしまう打球は、飛んでいる間に減速して落下しているのです。
コートに落ちる前に失速気味になったボールは、コートとの摩擦抵抗でさらに勢いを失って大きく減速します。
これが軽い球の正体です。

伸びのある打球⇒減速が少ない⇒勢いがあるまま抑え込まれて入っている状態
伸びのない打球⇒大きく減速する⇒飛んでいく勢いがなくなって入っている状態

直線と曲線のミックス

球筋というのは人それぞれで個性がありますが、打球の合理性の面から見て望ましいのは、直線と曲線がミックスされた球筋です。
つまり、はじめは直線的に飛んでいってネットを越えて、サービスラインの手前あたりでググッと沈む球筋です。
ボーリングのフックボールのように、はじめはまっすぐ行って、途中から回転の影響が出てグイッと曲がるようなイメージです。

回転過剰でもダメ

それでは、回転をかけて飛びを抑え込めば打球に伸びが出るかと言えば、そうとばかりは言えません。
ラケットのパワーがありすぎであるケースでは、「回転過剰」の状態になりやすいのです。
この状態では、ボールの真後ろを打ち抜くというよりボールの外側をこする感じの打ち方になって、回転量は多いのですが、打球軌道が最初から曲線になって、スピードが出にくくなります。
そうした場合、回転の掛けすぎで球足が短くなったり、あるいは、回転が足りなくてアウトしたりということを繰り返しやすくなります。

結局のところ、回転不足でも回転過剰でも同様に、深さは安定しなくなりスピードも無くなるのです。

逆の発想が必要

アウトしたときに、ラケットがもう少し飛ばなければコートに入ったのにと考えず、全く逆の発想で、もっと振って入れようと考えてみてはいかがでしょうか。
そういう方向でトライしたときに適切な深さになったとして、その時のスイングがしんどいのであれば、ラケットのパワーを上げるべきなのです。
もっと飛ぶセッティングにしたほうが抑え込みやすいことに気が付くはずです。

ポリのリスク

ナイロンだとすぐに切れてしまうからという理由でポリエステルを選ぶのはある面で仕方がないのですが、飛びを抑えるためにポリエステルを選ぶという場合は、ボールの勢いが無くなるリスクと背中合わせであることを知っておく必要があります。

強打しているのに後手に回る

力を込めたスイングで打たれたボールが、弾んでから失速した状態になると、打ち返すほうはとても楽です。
強い打球が来ると予想して早めに準備したら、意外におとなしい打球であったりすると、時間的な余裕が生まれて好きなところに打ち返すことができるからです。

力強いスイングをしたプレイヤーは、その影響で、打った後も力が入っていたり、バランスを崩していたりするので、次のショットへの対応が遅れがちになります。
スタートが遅れるとどうしてもバタバタした動きになってしまい余裕が無くなります。
強打しているのに相手が厳しいところに打ち返してきて、後手後手に回ってしまうのは、こうした仕組みかもしれません。

季節対応

特に、冬場などの気温が低くてボールが飛ばないときは、飛ばないために棒球のアウトが出やすいのですが、その仕組みを知っていないとセッティングで抑えようとしてしまうかもしれません。
リラックスして打った時にアウトするのはラケットが飛びすぎである可能性がありますが、打った後に体のどこかに力みが残る状態であれば、そのアウトはラケットが飛ばなすぎることによるものです。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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