打ち方を気にするとヘタになる

テニスでは打ち方を気にすると
ヘタになるって知ってますか

上達への意欲が強い人ほど、打ち方を気にしながらプレーしていることが多いようですが、そうするとミスが増えるので試合で負けやすくなります。
その理由は以下のとおりです。
1.ボールへの注意力が低下する
2.考えて打つと動きが遅くなる
3.スイングが硬直化する
4.反省と工夫は次のミスを生む

ボールへの注意力が低下する

テニスは相手が打ったボールを打ち返すスポーツなので、打つ前のボールはいつも動き回っています。
そのため、ボールの動きを正確に把握しないと、きちんと打ち返すことができません。
ですから、動き回るボールへの集中力が低下して、ボールの把握が甘くなると、とたんにミスが増えてしまうのですが、そんな状況で打ち方を気にすると、そのせいでボールへの集中力が落ちてしまうのです。
人が意識を集中させることができる対象は基本的に一つなので、同時に二つの対象に注意を向けるのは困難です。
そのため、何かに注意を向けると、他のものに対する注意力が低下します。
集中して何かを考えているときは人の話が聞こえなくなりますが、これも同じ理屈です。
ですから、ボールが飛んで来ているときに打ち方に意識を向けると、その分、ボールへの注意力は低下するわけです。

考えて打つと動きが遅くなる

テニスをしている人は誰でも、自分の身体を思いどおりに動かすことができるはずで、打ち方についても自由に変えられるはずなのですが、でも、プレー中にそれをやろうとすると、好ましくない状態に陥ることが多いようです。
どういうことかと言うと、テニスでは飛んで来るボールに対して「反射的な対応」が求められるのですが、「考えた動き」と「反射的な対応」は全くの別モノだからです。
(参照:「テニスのショットは無意識的な反射運動」
プレー中のボールは常に高速で動いており、しかも、毎回違った動きをしています。
また、基本的に、前回と同じ状態のボールが飛んで来ることは無いので、それを打ち返す側のプレイヤーも毎回違った動きで対応しなければなりません。
さらに、プレー中のボールの動きが意外に速いのに対して、人がものを考えるスピードはあまり速くありません。
映像などを思い浮かべる場合などは別ですが、「何々しよう」などと言葉で考える際のスピードは言葉を話す速度に準じてしまうからです。
ストロークの場合は、相手が打ってからこちらが打ち返すまでに使える時間はおよそ1.5秒前後(一般レベルの場合)なので、じっくり考えている時間はありません。
こちらがボレーする場合はさらに忙しくなって、相手が打ってから0.5~1.0秒くらいで打ち返さないと振り遅れてしまいます。
そうした、考える時間が無い中では、ボールを見ることで身体が自然に動いてしまうような「反射的な対応」が必要なのですが、そんな状況で「考えた動き」で打とうとすると、動作が遅くなってボールの動きに合わせることができなくなってしまうわけです。
飛んで来るボールをきちんと打ち返すには、約3秒間隔のショットごとに千分の数秒という単位でのタイミング合わせが必要なのですが、そういう状況は考えて動くのには適さないということです。

スイングが硬直化する

先ほど書いたように、飛んで来るボールの状態は毎回違うので、毎回違った動きで対応しなければなりません。
ですから、「打つ前のボールの状態に合わせて毎回適切に打ち方を変えられるかどうか」が勝負のカナメなのですが、そこに「こうやって打とう」という思いを持ち込むとちょっと困ったことになります。
なぜなら、その「こうやって打とう」という思いはそのボールを打つ前に急に決まったのではなく(そんな時間はないので)、ボールが飛んで来る前に決まっているはずなので、毎回違う状態で飛んで来るボールに対して、その意図した打ち方が合っているかどうかはかなり疑問だからです。
「自分のスイングを良くしたい」という気持ちは誰にもあると思いますが、具体的に「こういうスイングで打ちたい」とプレー中に考えるのは「打つ前のボールの状態に合わせて柔軟に動きを変えること」のジャマになる可能性が高いでしょう。
単純な例では、スピンをかけるために「下から上に振る」というテーマを、打点の高さに関係なく実行しようとしている人が結構多いのですが、その結果、高い打点で打つときのスイングが不自由になっているケースが数多く見られます。
(参照:「打点の高さに応じたスイング軌道の変化」
臨機応変さが求められる状況では、打つ前にやることを決めてしまうのは、動きの「硬直化」につながるわけです。

反省と工夫が次のミスを生む

試合でミスショットの後に、「もっとこうやって振ればよかった」と素振りを繰り返すシーンをよく見かけます。
その気持はとてもよくわかるのですが、こうした取り組みは次のミスの原因になる可能性があります。
なぜなら、反省したスイングがどんなに適切であっても、次に飛んで来るボールに対して適切かどうかは定かではないからです。
テニスでは、前回と同じ状態のボールが飛んで来ることは二度と無いので、前回の反省を次に活かしにくいため、反省して工夫したスイングが次のミスの原因になることがあります。
さらに、「もっとこうすればよかった」という反省に基づく動きの修正が、やりすぎにつながることが結構あります。
簡単な例では、アウトした後に飛びすぎを抑えようとして、打球が短くなったりネットしたりするケースがよくあります。
同様に、ネットの後のアウトというのもありがちです。
「もっとこうすればよかった」という反省の中の「もっと」には、「どれくらい」という「程度」がきちんと設定されていないことが多いので、「やりすぎ」につながる危険があるわけです。

「打ち方を気にするとき」と
「しないとき」をハッキリ分ける

「プレー中は打ち方を気にしないほうが良い」などと言われると、「それじゃあ、いつまでたってもうまくならないじゃないか」と感じた方も多いと思われます。
上達への意欲が強い人ほど、自分のショットのレベルを上げるための努力を続けていて、そのために打ち方を気にしているのですが、そうした努力を全て否定するつもりはありません。
ただ、「打ち方を気にしていいとき」と「それを気にしてはいけないとき」があるのです。そして、「実戦的なボールが飛んで来るとき」は「それを気にしてはいけないとき」なのです。
その理由はこれまで述べてきたとおりで、打つ前のボールは常に動いており、その状態は毎回異なるので、そこでは臨機応変の反射的な対応が求められるため、自分で決めた打ち方では対応できないからです。
実戦でのミスのほとんどは、「飛んで来るボール」と「身体の動き」とのミスマッチによって起こります。
ですから、「飛んで来るボール」に対して、いかにして「身体の動き」を適切化させるかが最大のテーマなので、それとは関係のない「こうやって打とう」という思いを実戦には持ち込むべきではないということです。

打ち方を気にしていいとき

では、「身体の動き」を改善しないとショットが良くならないときには、どうすればいいのでしょうか。
もちろん、そういう場合は打ち方をいろいろ工夫して、正しい打ち方、合理的な身体の動かし方を身に付ける必要があります。
そして、「実戦的なボールが飛んで来るとき」は「打ち方を気にしてはいけないとき」だというのであれば、「打ち方を気にしていいとき」はいつなのでしょうか。
それは、「実戦的なボールが飛んで来ないとき」です。
具体的には、「素振り」「壁打ち」「球出し」の3パターンです。

「素振り」「壁打ち」「球出し」

「素振り」では、当然ですが、ボールは飛んで来ないので、実戦的な状況ではありません。好きなように振れるという点では理想的で、好きなだけ繰り返すこともできます。
「壁打ち」では、壁にあたってこちらに飛んで来るボールは「勢いのない死んだボール」なので、打ち方を気にしながら打つことができます。
「壁打ちは生きたボールではないので練習にならない」というような意見もあるようですが、死んだボールだからこそ意識的に打ち方を工夫する練習ができるわけです。
さらに、同じことを繰り返す上での「時間効率の良さ」もメリットの一つです。
「球出し」では、スピードの遅い一定のボールを送ってもらえるので、同じ動きを繰り返すことができます。
このように、思いどおりのスイングをするには、それが成功しやすい易しい環境が必要で、そうした環境下では同じ動きを繰り返し実行できます。

身体に覚え込ませる

そして、この「同じ動きを繰り返す」というのが運動の改善にはとても大切で、その動きを「身体で覚える」ことがテニスでは不可欠なのです。
なぜなら、テニスで求められるのは「飛んで来るボールに対する反射的な対応」なので、それには「考えなくても身体が勝手に動く状態」になっていることが必要で、その下地作りとして「身体で覚える」ことが不可欠なのです。
考えて動いていては間に合わないので、考えなくても動けるように事前に身体に覚え込ませておくわけです。
同じ動きを何度も繰り返して身体で覚えるには、それが成功しやすい易しい環境が適しており、毎回異なる状態でボールが飛んで来る実戦的な環境は不向きということです。

飽きるほど繰り返す

ここで気をつけて欲しいのは、易しい環境で何度か繰り返しできたからといって、それで「自分はできるようになった」とは思わないことです。
易しい環境は、動きを考えながら打つために必要なのですが、考えた動きで何回か打てたからといって、そこはゴールではありません。
考えてやっているうちはスタートラインに立っただけの状態で、「考えなくても無意識的にそうなってしまう」というのが目指すべきゴールであり、それが「身体で覚える」ということです。

飽きるほどの繰り返しが必要です。

勝つための取り組み

やるべきことはシンプルで、身体で覚えるための易しいプレー環境と、実戦的なプレー環境とをハッキリと分けることです。
ですから、一番やってはいけないのは、試合などの実戦的なプレー環境で打ち方の工夫をすることです。
そんなことをしていると、実戦でポイントを失うだけでなく、動きの改善にもつながりません。
勝つための取り組みとして大切なのは、「打ち方を気にするとき」と「しないとき」をハッキリ分けることです。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

自分のせいではないことで損をしたくないと思ったらこちら!↓Click!

発売以来10000個以上売れています。
リピーター増加中!

関連記事一覧