小学生のラケット選びについて

ジュニア用の26インチ以下のラケットで普通のイエローボールを打つと打球の衝撃が強くて大変です。
ジュニアのラケット選びには多くの誤解があるので正しい理解が必要です。
不適切なラケットでは熱心に練習しても上達が進まずに故障の原因になることもあります。

小学生のテニスラケット選び

※このページには、ジュニアプレイヤーが大人と同じ「普通の硬式テニスボール」を打つ場合のことが書いてあります。
「PLAY+STAY」などのジュニア用ボールを使う場合は25~6インチのジュニア用ラケットで対応できますので、このページの解説の対象ではありません 。

ジュニアのラケット選びは難しい
テニスワンはラケットドックというテニスラケットのフィッティングサービスを2003年に開始して、これまでに10,000名以上の方にご参加いただきました。
その中には小学生のプレイヤーも多く含まれるため、合わないラケットの弊害は大人より子供のほうが深刻であることを改めて痛感させられました。
この記事はその経験を踏まえて書いたもので、ジュニアプレイヤーのラケット選びに少しでも参考になればと思います。

現実問題として、ジュニアプレイヤーのラケット選びには難しい問題がたくさんあります。
そのため、お子様のラケット選びに悩まれているお父さんお母さんはとても多いようで、この「小学生のラケット選び」というページへのアクセスは常にとても多い状態が続いています。

ジュニアプレイヤーのラケット選びを難しくしている根本的な原因は、「身体が小さく筋力も弱いのに、プレーに使うボールとコートは大人と同じ」ということから来ています。
日本人選手が身長2m近い外国人選手と対戦するのを見ると、同じ条件で戦うのはかなり不利な気がしますが、ジュニアと大人ではそれ以上の体格差があるわけです。

用途に適したものを選ぶ

最初に、小さい身体に合わせて軽くて短いラケットを使わせたいという親心はわかるのですが、使うボールは大人と同じということを忘れないでください。
子供だからといって、26インチ以下のジュニア用の軽くて短いラケットで「硬式テニスの普通のボール」を打たせるのは、野球に例えると、子供用のプラスチックバットで硬式野球のボールを打たせるようなものです。

道具というのは、使い道に合わせて選ぶことが最優先であって、使う人に合わせて道具を選んでも、それがもともとの使用目的や用途に合っていなければ不適切ということです。
子供の体格に合わせて選ぶというと、一見、優しい対応のように見えますが、使い道に合わない道具は使う側の負担を増すだけです。
ですから、ジュニアのラケット選びで一番大切なのは、「どんなボールを使うのか」を知ることと、その「ボールに合ったラケットを選ぶ」ことです。

低学年は軽いボールが良い

動き回るボールに対する機敏な反射能力を養うのは、おとなになってからでは遅いので、幼少の頃のほうが適しています。
ですから、テニスを始めるのは年齢的に早いに越したことはないのですが、ただそこで、使用するボールの重さとラケットの重さがネックになります。
そういう観点から、小学生の低学年の方々は、スポンジボール(約15g)や軽いロープレッシャーボール(40~50g)をジュニア向けの軽いラケットでスタートするのが望ましいと言えます。

でも現実には、そうしたプレー環境の普及はまだ十分とはいえず、低学年のうちから大人が使うのと同じボールでテニスをするケースが多いというのが実情です。
さらに、「PLAY+STAY」の普及が進みつつあると言っても、そういうボールでの公式の試合が少なく、試合に出るジュニアプレイヤーは普通のボールで練習せざるを得ないという事情もあります。

ジュニア用ラケットはつらい!?

26インチ以下のジュニア用のラケットで普通のボールを打ったときの大変さは、大人がそれで実際に打ってみればすぐにわかります。
ネット近くで遅いボールを打ち合うショートラリーなどは別にして、ベースラインでの打ち合いになると、飛んでくるボールの勢いで打ち負けることが多くなり、インパクトで強い衝撃があるので、大人でもかなり力を入れないとボールが飛んで行かないことがわかると思います。
大人が力んで打たないとボールが飛んで行かないラケットを、筋力の弱いジュニアプレイヤーが使うのはどう考えても不合理です。

ラケットドックで、26インチのラケットでプレーするジュニアの様子を観察すると、打つ前に身体に力が入って足を踏ん張り、インパクト後に軸がグラついているケースが多く、これは、無理に力んで打っているからなのですが、本人が力みたくなくてもラケットが合わなければそうなってしまうわけです。
そして、身体がふらついている状態ではショットが不安定になるのは避けられません。
約60gの大人が使うのと同じボールを使って全長約24mの普通のコートでプレーする場合は、ジュニア用の短いラケットはジュニアプレイヤーに適さないことをご理解ください。

大人と同じ規格のラケットが必要

大人規格のラケットは、約60gのボールを全長約24mのコートで打ち合うことを前提にして、それがやりやすいように、これまで進化してきました。
ですから、大人が使うのと同じボールでテニスをする場合は、ジュニアであっても、大人と同じ27インチ規格のラケットのほうが打ちやすいわけです。
とはいっても、27インチのラケットにも重さがいろいろあるので、不必要に重いものは避けたほうが良いでしょう。
ということで、結論としては、大人規格のラケットの中から、ジュニアが使うのに適した重さと「スイングウェイト(⇒後で解説)」のものを選ぶ必要があるということです。

重さ基準で選ぶのは危険

ラケットメーカーのカタログにはモデルごとに「重さの数値」が書いてあります。
その中でもプリンス社だけは唯一、「重さ」以外に「スイングウェイトの数値」も表記していますが、それ以外のブランドのカタログには「重さ」の記述しかないので、「重さ」を基準にしてラケットを選ぼうとする方が多かったり、そういうふうに指導するコーチがいたりするのは当然です。
でも、その選択方法はちょっと危ないかもしれません。

というのも、重量の数値では「実際に振ったときにどれくらい重いのか」が判断できないからです。
そのワケは、ラケットは長さのあるものなので、その中のどこがどれくらい重いのか(=重量配分)によって振ったときの重さが大きく変わるからです。
簡単に言うと、どんなに軽いラケットでも、その重量の大部分がラケットのトップに集まっていたら、振ったときにとても重く感じるわけです。
ですから、重さの数値では「振ったときに重いかどうかがわからない」ので、そういう数値で選ぶと危険ということです。

スイングウェイトで選ぶ!

「ラケットを実際に振ったときの重さ」「スイングウェイト」(【スイング=振る】+【ウェイト=重さ】=【振ったときの重さ】)という名前の数値で表されます。
これは、ラケットを機械で振って計測した数値で、実際に計測するとわかるのですが、同じモデルでも1本1本個体差が有って、ラケットごとに数値が異なり、およそ20~30ポイント程度のバラツキ幅があります。
ですから、重量などの数値より個体差の幅が大きいわけで、そのため、スイングウェイトの選択次第でラケットの使いやすさが大きく変ります。

全記事の中で最もアクセス数の多いのがこれ↓

Click!⇒適切なスイングウェイトについて
スイングウェイトなんて知らないという方が多いのですが、この数値はボールの飛びや面の安定性などのラケットの基本特性を左右します。そして、この数値は同一モデルでも1本1本の個体差がとても大きいので、スイングウェイトを計測せずにラケットを選ぶのは危険です…

スイングウェイトで決まる
打ち負けやすさ

そして、この数値は「振ったときに感じる重さ」を表すと同時に、「飛んで来るボールに負けないで打ち返せるかどうか」を決める数値です。
つまり、スイングウェイトが軽いとただ振るのは楽ですが、実際に打つ段になると、軽すぎると飛んで来るボールに負けてしまいます。
ということは、余計な負担を防ぐためにはスイングウェイトが軽いほうが良いのですが、軽すぎると打ち負けて負担が増えるので、重くも軽くもない、ちょうど良いレベルの数値を選ばなければならないということです。

さらに、ジュニアの場合は筋力が弱いので、多少は無理のきく大人に比べて、より慎重にスイングウェイトの数値を選ぶことが必要です。
実戦的なスピードのボールに負けないだけの数値が欲しいのですが、重すぎるとジュニアの場合はすぐにマイナスの影響が出てしまうので、適切な範囲はとても狭いのです。

重量は軽くて良い

重量の重いラケットはジュニアには不要です。
ただ、重量の数値とスイングウェイトの数値は無関係なので、重量の軽いラケットでも、スイングウェイトが軽すぎるケースもあれば重すぎるケースもあります。
ですから、重量という、スイングウェイトと関係のない数値だけで選んでいると適切なスイングウェイトのラケットが手に入る可能性は低いと言えます。

「重いラケットのほうがショットが安定する」などという迷信にそそのかされて、重量の重いラケットを選んでも、その選んだ個体のスイングウェイトが軽かったりすると、重さの負担はしっかり有るのに打ち負けてしまうという笑えない状況に陥ります。

27インチでも安心はできない

スイングウェイトに着目してラケット選びを考えると、大人規格の27インチのラケットでも、決して安心できないことがわかります。
その理由は、27インチのラケットであっても、重量が軽いものの中にはスイングウェイトも軽すぎるというケースがとても多いので、これだと、せっかく27インチを選んでも、ジュニア同士の打ち合いで打ち負けてしまう可能性があるからです。
そうかと思えば、重量は280gくらいの設定なのに、スイングウェイトだけは大人でも負担に感じるくらい重いという、まるで「落とし穴」のような状態になっているケースもあります。

一般にあまり知られていないスイングウェイトですが、この数値を確認して選ぶことが何よりも大切なのです。

ラケットドックで見られる
飛ばないラケットの諸症状

ラケットが合っているかどうかを判断するのに最も簡単なチェックポイントは打球軌道の高さです。
合わないラケットでは打球の飛ぶ軌道が高くなって、ネットの上を2m以上の高さで越えることが多くなるのですが、これは、ボールが飛ばないラケットでは高く打ち出さないと深く打てないからです。
でも、球筋が高くてもコートに入るのは「=遅い打球」ということなので、相手に時間を与えてしまいます。
アウトが多くても、その軌道が高い場合は、飛び過ぎてアウトしているのではなく、逆に、ラケットの飛びが悪いので高く打ち出してアウトしていると判断すべきです。

また、回転をかけると球足が急に短くなって、それを防ごうとすると棒玉のアウトが出るのが交互に繰り返されるというのも合わないラケットの典型的な症状です。

最初の部分にも書きましたが、飛びの悪いラケットでは力んでしまうため、打つ前に足が早く止まる傾向がありますが、これは、走り回りながらボールを打つのが基本のテニスでは致命的に不利です。
その結果として、ちょっとでも動かされると打てずに返すケースが多くなり、さらに、「止まって打って走って」を繰り返していると、フットワークがバタバタしてバランスが崩れやすくなり疲労が早まります。

合わないラケットでは上達が遅くなる

「試合で勝てるようになるまでは、大人が使うようなラケットは要らない」と考えている親御さんも少なくないようです。
でも、プレーに使用するラケットはプレイヤーがボールを打つときの身体の動きに直接影響するので、ラケットの弊害によって上達が足踏みしてしまうことは少なくありません。

打ち合いが続くとすぐにバテてしまうのは、プレイヤーの体力的な問題ではなく、ムダな力みで体力を消耗させるラケットに根本的な原因があるのかもしれません。
テニスでは、勝ち上がるためには1,000回くらいは平気で打つことが求められるので、一生懸命打たなければならないラケットではジュニアプレイヤーの体力が続きません。
ですから、一生懸命に打たなくても良いショットになるラケットを見つけないと、熱心に練習しても成果が上がらず、勝利へのハードルが高くなります。

意欲的に頑張ろうとしているジュニアにとって、練習が苦行にならないように環境を整えてあげることは、とても大切なバックアップです。
適切なラケットを使わせてあげることは、そうしたバックアップの中でも特に重要な要素だと思われます。

※ガットについて

ポリを張っているジュニアプレイヤーが多いのですが、そこも見直すべきポイントがあります。
まず、切れるまでの期間が問題で、ナイロンで2ヶ月程度持つのであればポリにしないほうが賢明だと言えるでしょう。
ポリの場合は切断耐久性の高さがメリットですが、その素材特性として伸縮性が低いので、ナイロンに比べてボールがあまり飛びません。
ですから、力のないジュニアの場合は、打球が失速したり、逆に、スッポ抜けたりすることがあります。
張替のコストがかさんでも、戦力ダウンを防ぐにはナイロンのほうが無難でしょう。
ナイロンでは1ヶ月持たないという場合も、すぐにポリ100%にするのではなく、「メイン:ナイロン+クロス:ポリ」、次に「メイン:ポリ+クロス:ナイロン」、最後に「反発性の高いポリ100%」という選択の手順を踏んだほうが、戦力ダウンを防げるでしょう。
プロと違って一般プレイヤーの場合は、切断耐久性が高ければ高いほどボールが行かなくなるというのが基本原則なので、コストとの見合いでご検討ください。

Click!⇒ガット張りの理想とは
ズバリその答えは「打球感を無くすこと」です。「打球衝撃を最小限にするセッティング」が実現すれば「インパクトでヘッドが走る状態」になります。そして、手応えが軽くなってヘッドが走れば打球が伸びて沈むようになり、相手コートで弾んでからの失速が減ります。それくらい、適切なガット張りは大切なのです。

※グリップについて

グリップサイズについては、ほとんどのケースで一番細いグリップ1を選ぶことになりますが、これでも太いケースが多いので、できればグリップテープは巻かずに使わせてあげてください。
当然、ある程度の期間で消耗しますが、製品に最初から巻いてあるクッショングリップは巻き替えができますので、汚損した場合は、この部分をガットの張り替え等のタイミングで一緒に交換してください。
(この部分は、「リプレースメントグリップ」とか、元のグリップという意味で「元グリ」などと呼ばれています)

※ジュニア用ラケットからの持ち替えについて

取り回しの軽いジュニア用ラケットから大人用のラケットに持ち替えたときは、重くなったと感じるお子さんが多いと思いますが、重さに馴染むまでは2cmくらい短く持つという方法もおすすめです。
ラケットは少し短く持つだけで取り回しの重さが軽くなるので当面の負担感の軽減には役に立つと思いますが、ずっとそのままでは打ち負けやすいので徐々に長めに戻したほうが良いでしょう。

※ラケットの契約について

大きな大会で勝てるようになると「メーカー契約」というのが頭に浮かぶ親御さんも多いと思います。
これは、ラケットの無償提供を受けるためのもので、強くなった証明ということで、ある種のステータスのように感じるジュニアも居るようです。
メーカーからラケットがタダでもらえるので間違いなく得なことのように思えるのですが、そこには気づかないデメリットもあるので注意が必要です。

まず、一旦契約するとそのブランド以外のラケットへは持ち替えにくくなります。
これは、契約による縛りというより、心情的な部分も含まれますが、コーチがその契約に絡んでいたりすると、そこから抜け出すのは容易ではありません。

ですが、ラケット選びに際してブランドのワクに縛られてしまうのは、戦力的には有利とは言えません。
ラケットは2年程度でモデルチェンジを繰り返すため、その時点で性能が変わってしまうことはよくあり、後継モデルでは元のようにプレーができないというケースも有ります。

ジュニアの場合はプレー内容も短期間で大きく変わるため、フィットするモデルも大人より早く変わっていきます。
ですから、その時点、その時点での最善の選択がオープンに幅広くできるようにしておくことが、効率良く強くなるためには必要だと思われます。

さらに、メーカーから提供されるラケットは個体選択ができないケースが多いようで、極端な場合はモデル選択までも限定されるケースも有るようです。
モデル選択はもちろん、適切なスイングウェイトの個体を選ぶことは快適なプレーの前提条件なので、その部分で他のプレイヤーより損な状況になるのは避けたほうが賢明でしょう。

大会遠征費用等も含めて、ジュニアプレイヤーの育成に要する親御さんの負担は大きいので、ラケットのコストは削減したい気持ちはわかるのですが、ラケットは戦力の基盤なので、そこの節約が戦力ダウンにつながっては元も子もありません。
使用するラケットが合っているかどうかで上達のスピードは大きく左右されます。
上達のジャマをしないラケットを選んでください。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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