TENNIS-ONE 【TENNIS-ONEのガット張り
適切な固さとは
適切な硬さとは
■ 自己判断は難しい
「張力を指定して張り上げても、結果的に適切な硬さに張り上がっていれば良いではないか」というご意見もあると思いますが、プレイヤーの自己判断で正しいセッティングが選べるかどうかについては、あまり楽観できないとTENNIS-ONEでは考えています。その判断が正しくできるプレイヤーは非常に限られていると言って良いでしょう。
というのも、TENNIS-ONEでは
ラケットドックというラケット・フィッティング・サービスで、これまで数千名の方のプレーとラケットとの相性を見てきましたが、プレイヤー自身が今まで良いと思って使ってきたラケットが、実は全然合っていなかったというケースは少なくありません。自分に合うラケットを自分の感覚だけで選ぶのはとても難しいのです。
ストリング・セッティングについても同様で、
感覚的に慣れているものを好む傾向があるため、使っていて特に不満を感じていなくても、実際のプレー上では弊害になっているというケースが少なくありません。
辛いものを食べ続けていれば辛く感じなくなるわけで、慣れてしまえば普通になってしまうのですが、それが合っているかどうかは別な話なのです。
■ 適切な硬さとは
面圧55が基準
TENNIS-ONEのこれまでの数千名にのぼるラケット・フィッティングの実績から、一般プレイヤーのプレーに適したストリング面の硬さは、面圧55(Ra test計測値)が基準になることが実証的に把握されています。
これより硬いと回転がかけにくかったり、力んだりという症状が出るケースが多く、柔らかすぎると回転が過剰になったり、自然に振り抜けなかったりするケースが多くなります。
気温やコートサーフェスなどに対応するためのアジャストは必要ですが、
面圧55が基準の硬さだとお考えいただいて良いでしょう。

適切な硬さの範囲
張り上げの硬さについては、プレイヤーの好みに合わせるというのがテニス界の常識です。プレイヤーの感覚に任せて、好みの硬さに仕上げればOKということなのですが、ラケットフィッティングの経験から言うと、これはあまり適切ではありません。
というのは、これまで多くのプレイヤーを見てきましたが、
プレイヤーの感覚的な好みと実際のプレーの良し悪しは必ずしも一致しないのです。
簡単な例では、「しっかりした手応えがあるときに良いショットが打てている」と考えるプレイヤーが多いのですが、実際には、
手応え(=打球衝撃)が大きいときには打球に伸びと勢いがありません。合わないセッティングで手応えが大きくても、それが良いと思ってしまうのです。

運動の効率性がカギ
約60gの重さの硬式公認ボールを一般プレイヤーが実戦レベルの打球スピードで打ち合う際に、プレイヤーの運動を効率良く打球に伝えるのに適したストリング面の硬さの範囲は、ユーザーの好みの幅よりかなり狭いと言っていいでしょう。
「ただボールが打てれば良い」というのであれば、どんな硬さでも問題ないのですが、勝つことを目指して長時間打ち続けることを考えれば、「
運動の効率性」が重要なカギを握っています。どんなに良い打球が出ても、その打ち方で2時間くらいは平気で打ち続けることができなければ、試合で使える実用的なショットとは言えません。効率の悪い状態では最終的に勝ち抜けないのです。軽快に走り回って勢いのあるボールを打ち続けるためには、効率の良い硬さの範囲というものがあるのです。
■ 硬すぎる弊害の症例
● 打球が行かない
ストリングの張上が硬すぎることの一番の問題点は、打球の威力が低下することです。
張上が硬すぎたり、ストリングの反発性が低くて飛ばなかったりすると、インパクトの衝撃が強くなるため、プレイヤーはそれに対抗するために
力を入れて強く打つようになります。
こうした状態では、強い手応えが強い打球を生むような気がしてガツンという手応えを求めて打つようになるのですが、結果的に、入れた力が打球に伝わらず、
無駄な力みとなってバランスを崩す原因になることが少なくありません。
打っているほうはガンガンハードヒットしているつもりなのですが、コートに弾んだ時には推進力が無くなって軽い打球になってしまうため、簡単に打ち返されてしまうという状態です。いわゆる
ハードアクションでイージーボールということで、相手プレイヤーにとっては、強い打球が来ると思って待ちかまえていても意外にボールが来ないので、返球をコントロールしやすくなり、厳しいところに打ち込みやすくなります。
テニスでは、どんなにハードなアクションをしてもそれでポイントが取れることはありません。キーになるのはボールの勢いです。それに加えて長丁場のスポーツなので、体力を使わずに勢いのあるボールを打ち続けることが必要ですが、
硬すぎるストリングは体力を浪費して勢いのない打球を生む原因になるのです。

● アウトが増える
ストリングを硬くするとボールが飛ばなくなるというのがテニス界の常識ですが、硬すぎる場合は逆にアウトが増えます
確かに、ストリングが硬いとボールは飛ばなくなるのですが、ボールが飛ばないとプレイヤーは飛ばすようなスイングに変わっていきます。その結果、回転量の少ない棒玉が出やすくなり、打ったとたんにアウトと分かるような打球が出やすくなります。
いわゆる「プッシュアウト」という状態ですが、そうなる原因はプレイヤーのスイングパワーが不足していることにあります。
飛ばないラケットで打球を押さえ込むには、飛ばないラケットでも飛びすぎてしまうくらいのスイングパワーが要求されるのですが、十分なスイングパワーがないために飛ばすだけのスイングになり、その結果飛ばしすぎてのアウトが出てしまうということで、ラケットが飛ばないことがアウトの原因になるのです。
強打した時のアウトが多い場合は、プレイヤーのパワーがあり過ぎなのではなく、打球軌道を押さえ込むだけのスイングパワーが不足していると考えたほうが改善につながるでしょう。
アウトが多いと、通常の判断では「
もっとストリングを硬くしよう」ということになるのですが、それではさらにアウトが増えることになります。

● バランスが崩れる
ストリングが硬いと余計な力みが出るようになり、それによってスイング後にバランスが崩れることが多くなります。前に突っ込んだり、左に流れたり、後ろにそったりと、その症状はさまざまですが、共通するのは、バランスが崩れた後は立て直す時間が必要になるということです。軸が傾いたままでは動けないので、崩れたバランスを一旦立て直してから次のショットに向かうわけですが、その一瞬の遅れが次のショットを不十分な体勢で打たなければならない原因になるのです。
いつもバタバタしていて、ラリー中に先手を取れないのはストリングの硬さに原因があったということもあるのです。
■ 柔らかすぎる弊害の症例
● おとなしくていねいなスイング
ストリングが柔らかすぎる場合は、飛びすぎを抑えるためにプレイヤーの動きが妙におとなしくなってしまうというケースがあります。硬すぎて力むのとちょうど正反対の症状です。
インパクトに向けてヘッドスピードが加速すると飛びすぎてしまうことが予想されるので、車の低速走行のような状態になり、ヘッドスピードが出ないように
終始ていねいに振るようになります。スイングのスピードが出ないように抑えて振るというのも結構難しい作業ですので、ストレスの元になりミスも出やすくなります。

● 回転過剰
飛びすぎを感じるとプレイヤーは球筋を抑えてコートに入れようとするため、回転を多くかけるようになります。その結果、スイングの力が回転に食われて、前に飛んでいく勢いがなくなります。また、当たりが薄くなるためショットの深さも安定しなくなります。
打球軌道も高めになって弾みも高くはなりますが、前に行く勢いがないので、そういうボールに慣れた相手からは上からたたかれやすくなります。


● 運動の抑制
ボールを効率よく飛ばすためには、腕の振りだけでなく全身を大きく使うことが必要で、通常はインパクトに向けて下半身の力がスムーズに上半身に伝えられるのですが、飛びすぎが予想される場合は下半身と上半身が連動しなくなります。足が止まっていて手だけで打つような、いわゆる「手打ち」の状態です。
こうした状態では動きながらのショットは難しいためにインパクトの前に足を止めることが多くなるのですが、それによって静止と急発進を繰り返すようなギクシャクした動きになってしまいます。
いつも慎重にプレーしている感じで爽快感がないのは、ストリングが柔らかすぎるせいかもしれません。

■ ラケットのせいで調子が変わる!?
このように、ストリングの硬さはプレーに大きな影響を与えるのですが、プレイヤー自身はそれに気づかずにプレーしてることが少なくありません。プレー中は忙しいので自分の動きの変化を客観的に観察するような余裕は持てないため、よほど注意深くチェックしないとラケットがプレーに与えている悪影響に気づきにくいのです。

また、一時は合っていたラケットが
プレー環境の変化で合わなくなるということも結構あるのですが、そういう場合もプレイヤー自身が気づくことは少ないのです。その結果、ミスが増えて調子は悪くなるのですが、それはラケットのせいではなく自分のせいだと考えてしまうことが多いようです。
同じラケットを同じ状態で使い続けているので、ミスが減ったり増えたりするのは自分の調子のせいだと思うわけですが、気温の変化やコートサーフェスの変化によってストリングの硬さがプレー環境に合わなくなったことが原因であることが少なくありません。
TENNIS-ONEではプレー環境の変化に対応するため、
同じラケットを異なるセッティングで使うことをお勧めしています。ストリングセッティングをプレイヤーの好みに合わせることより、プレー環境の変化に合わせることのほうがずっと大切なわけです。
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