| ● ラケットにプラスアルファを期待する |
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何か新しい道具を買おうという時、普通は、それを使ってできることについて夢がふくらむのではないでしょうか。逆に言えば、「それまではできなかった新しいこと」ができるようになると期待するからこそ、新しい道具が欲しくなるのでしょう。
ラケットというテニスの道具についても、多くの方はこうした考えに基づいて新たに購入したり、買い替えたりするのではないでしょうか。
「もっと上手く打てるようになる」ために、新しいラケットは「自分のプレーに何らかのプラスアルファをもたらしてくれるもの」として期待されます。 |
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| ● プラスアルファは期待できない |
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例えばランニングシューズを例にとると、どんなに高性能のシューズを選んでも、自分の能力以上には速く走れないだろうということは、誰でも容易に想像できます。
ですが、テニスラケットについては、そのプラスアルファを夢見る方がとても多いのです。ラケットを自分の武器だと考えて、高性能なラケットを装備すれば自分の戦闘力が上がると考えてしまうようです。
実際には、ボールのところまで走って適切なタイミングでラケットを振るのはプレイヤーの役割であって、ラケットはその間、プレイヤーに操作されて最後にボールに当たるだけです。プレー中のほとんどのことはプレイヤーの動き次第ということで、いくらラケットが高性能になっても、そうしたプレイヤーの動きを助けることはできません。ランニングシューズと同じように、プラスアルファを期待しても難しいのです。 |
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| ● マイナスの影響は出る |
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ですが、ランニングシューズの場合、それが合っていない時はどうなるでしょう。サイズが合わなくて2cmも大きいシューズでは間違いなくタイムは落ちるでしょう。それは競技レベルに関係なく、オリンピック選手でも市民ランナーでも同じです。
テニスラケットについても同じことが言えます。ラケットのパワーレベルやインパクトの反応がプレイヤーに合っていない場合、プレイヤーは無理な動きを強いられて、持てる能力を100%発揮することができません。
スイングのパワーがボールにうまく伝わらなかったり、身体のバランスが崩れやすくなったり、動きに変な調整が加えられたりします。つまり、プレイヤー本来のコート上を走ってラケットを振るという運動にマイナスの影響が出るのです。 |
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| ● ラケットドックでの発見! |
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TENNIS-ONEでは2003年からラケットドックというラケットフィッティングサービスを実施していますが、2000名以上にのぼるその参加者のほとんどが、ラケットを持ち替えてほんの数分でプレーが良くなりました。
実績としては大変喜ばしいことなのですが、その背景を考えるとあまり喜んでもいられません。それはどういうことかというと、改善の過程を冷静に振り返ると「合うラケットが見つかって、できないことができるようになった」というのではなく、「ラケットに邪魔されて閉じこめられていた身体能力がスムーズに発揮されるようになった」ということなのです。 |
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| ● ラケットはマイナス要因!? |
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ラケットを持ち替えてプレーが良くなるのに要した時間はほんの数分です。そんな短時間では、それまでできなかったことが急にできるようになったと考えるより、もともと持っていた能力がすんなり発揮されるようになったと考えたほうが自然です。
ということは、ほとんどのプレイヤーが良くなったということは、ほとんどのプレイヤーの使っていたラケットが合っていなかったということです。多くのプレイヤーにとって、ラケットはプラス要因ではなくマイナス要因だったということです。
人間の能力-ラケットによる負担=プレー能力
人間の能力にラケットの性能をプラスして、「人間の能力+ラケットの性能=プレー能力」というふうに普通は考えられているのですが、現実に起きていることは「人間の能力-ラケットによる負担=プレー能力」ということなのです。
こうした図式で考えると、ラケットの性能によってプレイヤーを助けようとするのではなく、ラケットによる負担を減らすことが現実的にはプレー能力の向上につながるということになります。つまり、動きの邪魔にならないラケット、余計な調整が最も少なくて済むラケットが、そのプレイヤーに最も合うラケットということになります。 |
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| ● プレイヤーの足を引っ張らないラケット |
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「道具なんて何を使っても一緒だ!要は腕の問題だ」という言い方は昔からありますが、ことテニスにおいては、これは正しくありません。ラケットがプレーに与える影響は非常に大きく、適切でないラケットでは多くの練習時間が無駄に消費されることになります。
ただし、ラケットに助けてもらおうとすると、その期待は裏切られる可能性が高いでしょう。身体に合うラケットとは、プレイヤーにいろいろな恩恵をもたらしてくれるラケットではなく、プレイヤーの足を引っ張らないラケットなのです。そのプレイヤーの持っている能力が100%発揮できるラケットがベストフィットなのです。
幸せの青い鳥を探すように、プレーを助けて技術的な問題点を解決してくれるラケットを探すのではなく、身体の自然な動きを引き出してくれるラケットを見つけることが、プレーを向上させる近道です。 |
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| ● ラケットフィッティングの重要性 |
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身体に合うラケットは、コート上で身体の動きを見て選ぶ必要があります。カタログや他人の評価を参考にして、いろいろ情報分析を重ねても正しい選択はできません。
また、いくら試打をしても、判断するのがプレーしている本人というのでは、自分の動きは自分で見比べることができないため、打球感くらいしか判断の材料になりません。そのため、打球感の好き嫌いでラケットを選ぶことが多いのですが、打球感の好き嫌いはプレーの良し悪しとはあまり関係がありません。
身体に合うラケットを選び出すためには、コート上でいろいろなラケットを打ち比べている時の状態を、専門の能力を備えた人に見てもらうことが必要です。それがラケットフィッティングなのです。 |